第4章 来客
「最後にカゲヤマ、お前について聞く」
スガワラさんがそう前置きして、最後の質問をする。
「お前は何者で、どうしてここに来て、目的は何だ」
カゲヤマはやはり、すんなり答える。
「俺は魔王の血で作られた自我を持つ人形です。あの人の政策に嫌気がさして逃げ出し、追撃されてここに捨てられました。目的は魔王を倒す事です」
「お前、魔王倒すのか!?」
カゲヤマが言い終わるや否や、俺はカゲヤマの前へ躍り出る。
「俺も連れて行ってくれ!」
「馬鹿かヒナタ!」
サワムラさんが怒鳴った。
俺はサワムラさんを振り返ると、両手を握り締め、表情を固くして俺を見ていた。
ヤチさんは心底辛そうな顔で、スガワラさんは驚いて、俺を見ていた。
俺は、決めたんだ。誓ったんだ。
この村に来た日、この宿で。
「俺は!魔王を倒したい!そして、家族の仇をとるんだ!」
俺は初めて宣言した。
「俺は毎日鍛錬して、今日ハエの魔物を殺したんだ!」
この話は今関係無いかもしれない。でも、俺の強さを知って欲しかった。
「だからカゲヤマ!」
俺はカゲヤマを真っ直ぐに見下ろす。
「俺を連れて行ってくれ!」
カゲヤマは即答した。
「嫌だ」
俺は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしたと思う。
「………なんで?」
「お前、見るからに弱そう」
その言葉は意外と刺さる。背は小さいし、筋肉もアオネさんと比べると少ないし。
「それに、俺が勝ちに必要ないって判断した奴は仲間にしない」
とんだ自己中心的な考えだ。
俺が唖然としている内に
「すんません。俺もう暴れないのでロープ解いてください」
「お、おぉ……わかった」
カゲヤマはスガワラさんに解放された。
「そうだ、宿代……」
「いいいいい頂けません!お気になさらず!!」
ヤチさんはカゲヤマを怖がって、宿を無償で提供することにしてしまった。
「俺無一文だったんで、助かります」
「れれれ礼にはおおお及びません!!」
ヤチさんは顔面蒼白でサワムラさんに引っ付いて離れない。……大丈夫かな?