第3章 魔物の脅威
その日はみんなに甘えて1日休んだ。
午前中は村に出掛けて、当てもなくぶらついた。
途中、タナカさんと会って一緒に村を回った。
タナカさんは俺の体調を気遣ってくれて休み休みの散歩になった。
タナカさんと一緒に宿へ戻って昼飯を食べる。
午後はタナカさんと別れて、アズマネさんとニシノヤさんが経営する牧場へ行った。
アズマネさんは市場へ牧場製品の売買の為に居なくて、ニシノヤさんに牧場を案内してもらった。
チーズ工房で出来立てのジャージーミルクのチーズを試食させくれて、初めて食べたけどすごく美味しかった。
夜。
晩飯の後、いつものように木刀を振って、風呂に入って、ベッドに入る。アオネさんは既に眠っていた。
小さく「おやすみ」を言って布団の中で微睡んでいると、暗闇に立っていた。
背後から熱風に襲われる。振り返るとそこは轟々と燃える、今の俺達の家。
「ヤチさん!!アオネさん!!」
気がついたら叫んでいて、走って燃え盛る家に入ろうとドアノブに手を掛けたら火傷した。
パジャマの裾を引っ張って手に巻いてドアをこじ開ける。
中は真っ赤な火の海。夜なのに眩しいくらいで、カーテンもカーペットもタペストリーも壁も床も何もかもが燃えている。
火の粉が飛ぶ中、ヤチさんの部屋があるカウンターの奥の部屋に入ると、目を疑った。
ベッドの上で横たわるのは上半身だけのヤチさん。俺に切断面を向けて動かない。
火に照らされて赤々と輝く臓物がベッドに撒き散らされている。
ベッド脇には黒いつなぎを着て、細い尻尾を揺らす女の人が俺を見ていた。
突然、胃が浮いた。これは浮遊感。
吐き気を催す感覚と景色が遠ざかって……