第3章 魔物の脅威
「なぁ、知ってるか坊主?」
「はい、なんでしょう?」
その日は突然来た。
「雪ヶ丘って村が、ここから山1つ越えたとこにあっただろ?」
夜。酒に酔った旅人から聞かされた話。
相手は酒の席の他愛の無い話のつもりだったかもしれない。
でも、俺にとってはとんでもない話だった。
「はい!そこは俺のーー」
「あそこ、でっけぇ穴になったらしいぜ?ガハハハッ!」
一瞬、言葉を理解できなかった。
俺の言葉を遮って聞こえて来た言語が、俺の知ってる言語で間違い無いのか耳を疑った。
「ヒナタ、どうしーーヒナタ!!」
俺の、村が、故郷が、穴?
「ヒナタ!!ヒナタ!!誰か!!」
名前を呼ばれてる気がするーーー
「おい!ヒナタ!分かるか!?おい!!」
聞こえていても、声が出ない。体が動かない。
「しっかりしろ!おい!ヒナターー」
世界が暗転するーーー