第2章 第2の故郷
伊達街に行けない。だったらどうするべきか。
考えろ。考えろ。俺の小さくてバカな頭でも、これくらいの問題の答えはだせr
「だ〜か〜ら〜!ヒナタ、アオネ。ここに住んじゃえよ〜」
スガワラさんの緊張感のない声に俺は真っ白になる。
「な?」
そんないい笑顔で『な?』って言われても……
「やっちゃんの宿ってさ、結構広いんだよ」
アレ、移住の話じゃなかったっけ?
「大人1人で切り盛りするのも大変でさー。ほら?維持費とか?なのにやっちゃんは小さな体でずぅーっと頑張ってんだよ、1人で」
それは苦労が絶えなさそうだ。やっぱりヤチさんすごい。
「だからさ、人手があると助かるわけよ。ここはただでさえ人口をが少なくて職も少ない。やっちゃんに回したい人員も無いの」
所謂、経営難ってところか?違うか。
「男の子が2人くらい増えれば、やっちゃんの負担も減るべ?」
言いたい事を理解してきた。
「つ、つまり、俺達の移住を認める代わりに、ヤチさんの宿の手伝いをしてほしいって事ですか?」
「そゆこと♪察しが早いね」
俺達で勝手に決めて良いのだろうか……。
ヤチさんを見ると、縮こまっていた。
「え、ヤチさんどうしたの。何かあった?」
「はいいいえっ!なんでもございせんっ!私のような未熟者の経営するしがない宿の事をここまで考えてくださっていて大変恐縮ですし私が皆さんに気にかけて頂けるなんてこの上なく光栄に思っておりますが皆さんが気を遣って頂いているというのに私はそれに見合うお返しを出来ていたかと考えていただけでございます故お気になさらず」
「な、なんて?」
早口過ぎて所々聞き逃した。
スガワラさんは相変わらず楽しそうに、うわはははっと笑ってヤチさんを撫でた。
「やっちゃん、思い詰め過ぎ!気楽で良いよ気楽で」
ヤチさんを撫でながらスガワラさんは俺とアオネさんを見る。
「来いよ」
スガワラさんの優しい眼差しと声がとても懐かしくて。
思い出してしまった。
母さんを。父さんを。ナツを。イズミンを。コージーを。
俺は、離れられてない。自分の故郷から。
いつになるか分からないけど、この胸の苦しみを乗り越えなきゃならない。
それは今じゃないのは分かる。
「……っはい!」
アオネさんも頷いた。