第2章 第2の故郷
「母さんとナツ。生きてるかなぁ……」
思わず出た。無意識だった。本当に何も考えずに出てきた。
だから、また胸が痛くなる。
父さん…………
赤い日の光景がまた返ってきた。
そして、俺にある考えを植え付けた。
これが最善策とも言えない。最適解じゃないかもしれない。
それでも心に根付いて、離れない。
頭に残って、他の事に考えが行かない。
「アオネさん」
下を向いていても、向かい側から視線を感じる。
「俺……」
しっかり聞いてくれてる。だから信じて打ち明ける。
俺の今の考え。
「強くなって、あの魔王に復讐する」
部屋が一気に静かになった。
木の葉の擦れる音が止む。
多分ヤチさんのものであった何かの音もしなくなった。
耳の奥が痛くなるような静けさの中。
アオネさんの声が聞こた。
「お前がそう決めたのなら」
…………俺は付いていく。
そう言ってくれたような、気がした。
部屋に音が戻って顔を上げると、俺に優しい目を向けるアオネさんが座っていた。
俺が今言える事はこれくらいだ。
「ありがとう」
しばらくすると、ヤチさんが部屋に現れた。