第13章 再会
「コー……ジ……?」
コージーって、あのセキムキ コウジ? いや、俺たちがそのあだ名で呼ぶのは、そいつしかいない。
「……だれか……いるのか?」
コージーが出した声は弱々しく、しわがれ、今にも消えてしまいそうなほど小さい。
イズミンはコージーの肩に手を置く。
「ショウちゃんだよ。ヒナタ ショウヨウ。信じられないけど」
「ほん……とか?」
「うん。アオネさんも一緒だよ。コージーはあまり会ったことなかったっけ」
「ううん……覚え……てる。そっ……か……。うっ……ゲホッゲホッ」
コージーがひどく咳き込んだ。イズミンが急いで上体を起こして背中を撫でる。
俺も思わず膝を付いて2人を覗き込んだ。
コージーはイズミンより幼く見える。大火傷のせいでそう見えるだけかもしれないけど、何故かイズミンとは違う幼さがある。
コージーの整える息がかすかすで、呼吸をするだけで苦しそうだ。
水を持ってくればよかったと、今更ながら後悔する。昼間に見たイズミンにショックを受けすぎて、すっかり忘れていた。
するとアオネさんが屈んで、イズミンとコージーに水筒を差し出す。
「あ、おわん」
言うが早いか動くが早いか。イズミンは部屋の隅に置かれて砂を被ったお椀を手に取り、自分の服で汚れを拭き取るとアオネさんに差し出した。
アオネさんは黙って受け取ると、お椀の3分の1程度水を注ぐ。
イズミンがコージーに水を飲ませるが、そのほとんどが口の端から垂れていく。
コージーは脱力してイズミンの腕にもたれた。イズミンはそっとコージーを下ろして、麻布をかける。
「ありがとうございます」
イズミンがアオネさんに礼を言うとアオネさんは黙って頷いた。
イズミンも一口だけ水をもらう。
アオネさんは水筒をしまい、イズミンはお椀を片付けると、コージーはまた目を開けた。