第11章 7日間
俺が一行を離れて別行動を開始したのは、街に入ってすぐだった。
馬車を指定の駐車区域に置いた直後、見覚えのある人物を発見した。
俺が街に帰れなくなってから随分月日が経ち、彼も見違えるほどに成長していたが、よく知る人物そのままだった。
俺は迷わず声をかけた。
彼は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに俺だと気付いて、俺が居なくなった時の愚痴大会を始めようとするものだから、途中で遮って要件を端的に伝えた。
彼は一瞬嫌な顔はしたものの、俺が無事だったことに免じて請け負ってくれた。
単刀直入に言って、調査は難航した。
ヒナタの受けた魔法は呪いの類であるという確信は、俺の証言からモニワさんがすぐに導き出したが、それをどう解除するのかが問題だった。
伊達街の科学技術でどうにかなるような魔法じゃないからだ。
その時はそう思い込んでいた。
サクナミがヒナタの様子を見るために送った人形が、何故かナイトメアに取り憑かれて腐っていたが、「ヒナタの呪い」を正確に特定できた。
それは、精神安定を目的とする黒魔術だった。
本来なら白魔術として扱われる精神干渉魔法だが、黒魔術で行えば、起こるはずのない副作用が起こる。
それがヒナタの場合、全身麻痺だった。
黒魔術の精神干渉魔法は、その大半が呪いだ。だから、黒魔術を使った痕跡と副作用の様子から呪いだと誤診されることが多い。
故に、ヒナタがこれから受ける治療法と言うのは……