第2章 〜独り占め〜(律)
「…そのせいでちょっと…なんて言うか」
「な…に?なんか…あったの?」
「そうじゃなくて! 」
そう言う律くんの顔は徐々に赤く染まっていく。どうしたのかなと思って聞いてみると,
「律くん,顔赤いよ?」
「…だから!」
急に律くんはそう叫んだ。それから律くんは幾度か深呼吸した後,決心したように私に話し始めた。
「今日宗詩達と出掛けたことだけど」
「うん。それがどうしたの?」
「別にやましいことないのは分かってる。分かってるけど…」
「けど?」
「その……」
「律くん…?」
再び黙ってしまった律くんをじっと見つめると,さっきより顔が赤くなっていることに気がついた。
(本当にどうしたんだろう)
心配と不安が入り混じる私の心の中。そんな心の中のせいか,多分30秒ぐらいだった沈黙が,何時間にも感じられた。
その沈黙を破ったのは律くんだった。
「……だから…」
「だから…?」
「嫉妬したっていうか…」
(え……?)
最後の方はとても小さな声だったけれど,聞き取れた。しかし,今私の中にあるのは驚きだけだった。
律くんが…嫉妬?そんなことあるのだろうか。頭の中がごちゃごちゃになり思わずポカーンとしていると,
「宗詩だって一応男だし…3人で行くなら女はあんた1人だけでしょ」
「まあ…そうだけど」
「それに嫉妬したってこと」
「律くん…」
「歌恋は俺のものなんだし,ちゃんと自覚してよね」
律くんの独占欲に,少し嬉しくなる。彼のことを,あまり嫉妬とかしないタイプだと思っていたから,余計に。
「分かった…でも宗ちゃん達とお出掛けするのは楽しいから行きたい…それは良い?」
「…じゃあ」
「じゃあ?」
「条件を呑むなら良いよ」
「条件…?」
(一体なんの条件だろう…)
でも,宗ちゃん達とお出掛けできるのは素直に嬉しい。条件がどんなものか分からないけど,私に出来る範囲だったら呑みたい。
「分かった。どんな条件?」
「じゃあ,まずこっち来て」
「分かった」
律くんに言われた通り,律くんの横まで移動する。そこで次の指示を待っていると,