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✿イケメンライブ✿歌で奏でる恋物語

第3章 〜ぬくもり〜(アンリ)




「…歌恋ちゃん?大丈夫?」

「え?ぁ,うん…」


不安が顔に表れていたのか,アンリくんが心配そうな声を掛けてくれた。

けれど,本当のことを話したら独占欲が強いと思われそうで…そうしたら,アンリくんに嫌われるかも──
そう思うから,本当のことは話さなかった。いや,話せなかった。


「そう?…でも」

「え?わっ……」


そこまで言って,アンリくんは急に私に顔を寄せてきた。正直心臓がもたない。


「ちょ…あの,近…」

「やっぱり,不安そうな顔してる」

「え…?」

「何かあるなら言ってよ?俺は歌恋ちゃんの恋人なんだからさ」

「で,でも本当に何も無いよ?」


そう言って笑ったけど,アンリくんには誤魔化しが効かなかった。


「んー…やっぱりなんかあるでしょ。そんな気がする。
それとも…俺には話せないこと?俺ってそんなに頼りない?」

「ち,違うよ!!アンリくんは頼りないわけじゃないよ」

「じゃあ…話してくれる?ゆっくりで良いからさ」


そう言ってくれるアンリくんは本当に優しい。

──そして,そんな彼に嘘をつく私は本当に最低だと思った。


座って話してもいい? と聞くと 良いよー といつものアンリくんらしく承諾してくれたから,ベッドに2人で腰掛けて話し始めた。


「最近,アンリくんやSilverVineが有名になったでしょ?」

「そうだねー,カナデさんが大々的に公表しちゃったもんねー」

「それで…えっと……」

「うん」

「…」


(何で…素直に言えないんだろう)

何故言えないんだろう。言ってしまえば楽なのに。アンリくんへ隠さず言えたら良いのに。

そう思う毎に焦燥が募っていく。

そんな私を見兼ねてか,アンリくんがこう言った。


「あのさ,話しにくいことなら別に良いよー」

「え…?」

「だってさ…お互い言い難い事はあるじゃん!それは,ゆっくり時間掛けて話せば良いんじゃない?」


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