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ずっと、あなたと *黒子のバスケ短編集*

第2章 わがまま*日向*


デート当日。

ウキウキしながら、待ち合わせ場所の駅へ向かう。




...はずだったのに!!



私は馬鹿なことに、風邪をひいた。

昨日頭が少し痛いくらいで、一時的なものかと思ってたのに...。

しかも熱が37.8℃って。なんの冗談?

力が入らない手で携帯を掴む。順平に連絡しなきゃ。


プルルル....プルルル...


日向『もしもし?』

「あ、じゅんぺー?ごめん私も風邪ひいたみたい...れーと行けらくらった...」


日向『おま...っすげー鼻声だな。大丈夫か?熱は?』

「んーと、37.8℃」

日向『結構あるな...家の人いるのか?』

「仕事行ったからいらい」

日向『じゃあ俺今からそっち行くわ。ちゃんと寝てろよ』


え、来るって?うちに?

順平に再確認する前に、また電話が切られていた。

頭ボサボサな上に部屋片付いてないのに。

これで来られたら困る!!

私は意地と根性で、だるい身体を動かし散らばっている荷物たちを押し入れに閉じ込めた。


「髪...!どうしよう!」


とりあえずクシで軽く整えておいた。

そうこうしているうちに家のベルが鳴った。


「き、来た...!」


初めての訪問が、こんな形になるなんて...。

半ば肩を落としながら、玄関の扉を開けた。

そこには少し汗ばんだ順平がビニールぶくろを持って立っていた。


日向「立ってて大丈夫か?わざわざ出てきてもらって悪いな。ほら、部屋戻ろう」


そう言って優しく私を支えながら、部屋まで連れて行ってくれた。

部屋の片付けをしたので、もう動ける気力が残ってない。


「ごめんれ順平...せっかくのれーとらのに..」(せっかくのデートなのに)

日向「大丈夫だって。それより今は自分の体のこと考えろよ。ゼリー買ってきたけど食えるか?」


私の額に手を当てて、熱を確かめながらやさしく問いかけてくれた。

それがすごく安心できて、すごく愛おしい。


「今はいいや」
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