第2章 わがまま*日向*
そうか、と言うのと同時に離れる手。
私は気づいたらその手を掴んでしまっていた。
日向「?」
「あ、ごめん....」
日向「いやいいけど...どした?」
普段の私がしない事をしたから、順平も少し戸惑っているようだった。
でも問いかけてくる順平の声が優しくて、今はなんでも言えそうな気がした。
「...もうちょっと、撫でてほしいら...らんて...」訳(ほしいな...なんて)
そのセリフに一瞬驚いた順平だったが、少し微笑んでから頭を撫でてくれた。
日向「よしよし」
大きな手が心地よくて、ふわふわした気分に身を任せて目を閉じた。
日向「今日は、いっぱいワガママ言っていいからな」
その言葉を聞いて、私は順平の顔を見た。
そしてまた順平も私を見つめていた。
日向「今までずっと我慢させてきただろ?今日はなんでも言う事聞いてやるから、何でも言えよ?」
私は自分の胸のあたりが暖かくなるのを感じた。
順平が自分のことを考えていてくれていたのが嬉しくて。
私の目には涙が伝った。
「じゅんぺー...」
日向「ん?」
「順平...大好き。すごい好き。もうめっちゃ好き」
言う度にどんどん気持ちがエスカレートして行く。
「...だからもっと一緒にいたい...手だって繋ぎたいもっともっと近くにいたい」
順平は私の言葉をずっと黙って聞いてくれた。
私が泣きじゃくって何も言えなくなると、頭を撫でていた手でそっと涙をぬぐってくれた。
そのまま目を手で覆いかぶせて、優しくおでこにキスを落とした。
日向「俺もだよ」
と、軽く囁いた順平の声を聞いたあと、私は眠りについた。