第1章 傍にいる*今吉*
ざァーーーーっ
綺麗になったお皿をスポンジで洗っていく。
美味しそうに食べてくれる姿を見ると、嬉しくなって皿洗いも嫌じゃなくなる。
「~♪」
今吉「えらいご機嫌やなぁ」
翔一の声が聞こえるのと同時に背中から抱きしめられる感触があった。
「そりゃ、大好きな人がいるんですもん。ご機嫌にもなりますよ」
翔一の顔を見ずにそう言った。
...我ながら恥ずかしい。
今吉「なんやそれ。ずるいわ...」
ボソッとそう囁いた翔一。抱きしめている腕の力抜いて、少し顔を私の耳に寄せた。
今吉「」
耳元で聞こえた翔一の声は、全身に響きわたった。
「はい?」
今吉「こっち向いてみ?」
一旦手をとめ、振り返ると優しくキスを落とされた。
「!!」
今吉「ほんま、ずるいわ自分。ワシを殺す気か」
殺されるのはこっちです!
なんて心の中で突っ込んだ。
ゆっくり顔をお皿へ戻し、全て洗いおわらせた。
翔一は私の手を握り、リビングまで行ってソファに座った。
しばらくの沈黙。
近くにいるだけで心臓が爆発しそうだ。
今吉「なぁ...」
ゆっくりと翔一が口を開いた。
今吉「はワシがおらんでも寂しない?」
なんで、そんなこと。寂しくないわけない。
「どうして?」
今吉「なんや、そんな気がしてな。帰ってきた時キスするんも躊躇ってたし、もっとこううわぁーって来るのを期待しとったから」
「いや、あの...」
さみしそうな顔をしている翔一。
こんな顔させるんだったら、もっと素直になるんだった。