第1章 傍にいる*今吉*
今吉さ...いや、翔一がお風呂に入っている間に夕食の準備をした。
(...本当はもっとぎゅーっとかしたいんだけどな)
お皿を並べながら、そんなことを考えていた。
昔から甘えるのがヘタというか、どうしても恥ずかしくなってしたい事ができない。
こんなに会いたかった人が帰ってきて、触れたいと思うのは普通の事なのに。
もっと自分が積極的ならな....。
ぼーっとそんな事を考えていると、翔一がお風呂からあがってきた。
今吉「はーっええ湯やったわぁ。さて、今日の夕飯はなんかなー?」
と言いながらテーブルを眺める。
今吉「お!茶碗蒸しやん!ワシこれめっちゃ好き!」
はじめて茶碗蒸しを作った時に大絶賛してくれたから、作っておいた。
喜んでくれたみたいで嬉しい。
それから食べ始め、美味しそうに頬張ってくれている。
「美味しい?」
今吉「めっちゃ!!やっぱの茶碗蒸しは最高やわ!」
「よかった。いろんな所で美味しい物食べてるからちょっと不安だったんですけど...。」
今吉「何言うてんの。嫁さんがつくる手料理ほどうまいもんないで!これほんまに!」
真剣にそう言ってくれるから、なんだか可笑しかった。
翔一は綺麗に全部食べてくれた。
今吉「うまかった!ごちそうさん」
「ふふ。じゃあ、お皿洗ってきますね」
お皿をもって、台所へ向かうと翔一は「おおきにー」と言ってくれた。