第3章 お菓子より甘いもの*紫原*
あれからというもの、紫原のとなりにいた美男性、氷室先輩と話すようになった。
学年が違うからなかなか出会うことはないけど、会ったら話しかけてくれるし、とても良い先輩だ。
(紫原くんともあれぐらい普通に話せたらいいのにな)
紫原とは、お菓子をあげたりちょっとした会話をするだけで、これといった進展はできなかった。
もっと仲良くなりたいのに。
そんなある日、教室でぼーっとしていると、化粧をした女の子たちが私の席を囲んできた。
突然のことで頭がついていかない。
「あの、なにか用?」
女子「ちょっと話あるの。来て?」
そう言われ、連れてこられたのは人通りが少ない校舎の廊下。
「あの ...?」
険しい顔で私を眺める彼女たちに声をかけた。
女子「最近、氷室さんと仲良くない?」
「えと...そうかな?」
女子「そうよ!元バスケ部のマネージャーだからって調子乗らないでくれる?」
「そんなつもりは...」
女子「じゃあなんなの?いつも隣のクラスの紫原くんにお菓子あげてるじゃない。アピールしてんのバレバレ。」
紫原に関しては下心がないと言ったら嘘になる。なにも言えないでいると、女の子の一人が鼻で笑った。
女子「否定、しないのね?あんま調子乗ってると...」
下を向いている私を髪を引っ張って無理やり持ち上げる。
女子「ただじゃ済まないから。」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべて、彼女たちは去っていった。
ただ仲良くしてただけなのに、女の子の嫉妬って怖いな...。
乱れた髪を直して、前を向くと、紫原が立っていた。