第3章 お菓子より甘いもの*紫原*
いつもと変わらない放課後。
私は委員会で使う書類の整理で遅くまで学校に残っていた。
「んーっ...疲れたっ!」
大きく伸びをして窓を見ると、外は真っ暗で窓には自分の姿がはっきりと映る。
「帰るか!」
身支度をして、一応窓の鍵をチェックしてから電気を消して教室を出る。
廊下にはもちろん誰もおらず、自分の歩く音だけがひびく。
少し不気味な雰囲気に心細くなり、歩くスピードが早くなる。
あともう少しで下駄箱というときに、突然後ろから声をかけられた。
紫原「ちん?」
「うっわぁ!!!」
勢いよく振り返ると紫原くんが立っていた。
「びっくりしたぁ...なんでここにいるの?」
紫原「こっちの方がびっくりだよ...今部活終わったんだ~」
氷室「敦?今、すごい声聞こえたけど...」
そうなんだ、と返していると、紫原の後ろから美しい顔立ちをした人が現れた。
(....?誰だろ?)
姿を見るからに、バスケ部なのはわかる。
紫原「ちんがいて声かけたら驚かれた。」
「ご、ごめんね?突然でびっくりしちゃって..」
氷室「...?あぁ、君か。暗いのに一人で残ってたの?」
「あ、はい。やることあって...」
氷室「そっか。危ないから気をつけてね」
そう言って笑うこの人はとても美しかった。
その後、紫原に別れを告げた後学校を後にした。