第22章 ここにいる*氷室*
頭にある優しい手を感じながら、私は眠りについた。
夢の中では、しばらく会ってない両親が出てきた。
父『またあの子風邪をひいたのか』
母『そうみたい。いつも心配させるんだから』
父『まったくだ。なんの役にも立たないな』
母『薬を買うのだってお金がいるのに...邪魔な子ね』
(なにそれ...私、邪魔だったの?だから一緒にいてくれなかったの...)
気づけば涙が伝っていた。
こんな夢、見たくなかったな...。
嘘だとわかっていても胸が傷む。本当にそうだったらどうしよう。
不安な気持ちが膨らんでいく。
辰也は仕事に行っていてまだ帰ってきていない。
眠るのが怖い。またあの夢を見るのが...。
私はだるい身体を起こして、玄関に向かった。
「辰也...早く帰ってきて...」