第22章 ここにいる*氷室*
私の両親は仕事柄いつも家にいるわけじゃない。
だから小学校のころ、風邪を引いた時は仕事を休んで看病してくれるのが嬉しかった。
そばで頭をなでながら、私が眠るまで見ていてくれた。
いま、そばにいるのは愛しい人。
同棲を始めてからもうすぐ1年が経つ。
辰也がそばにいると落ち着いて、安心できるんだ。
「辰也ぁ ~ ...」ぎゅ
氷室「ん?どうかした?」
その声と同時に優しく頭を撫でてくれる。
あ、いい忘れていましたが。私ただいま風邪を引いております。
「まだいる?」
氷室「あぁ、あともう少しはいるよ」
「もう少しってどのくらい?」
氷室「....クスッ 、そんな心配しなくても家を出るときは声かけるから。は寝てて?」
黙ってうなづく。
もう少しってほんとにいつまでだろう。
気づいたらいなくなってるのが怖い。
今はまだ、あなたを傍に感じていたい。