第22章 ここにいる*氷室*
数時間後。
氷室「ただいまー....って?!」
「あ...おかえり辰也...」
氷室「なんでこんな所にいるの?!熱は?」
「わかんない」
私がそう言うと、辰也が優しくおでこに手を当てた。
氷室「熱いじゃないか...どうしてこんなこと....」
辰也は私を抱き上げ、リビングのソファーまで運んでくれた。
そのまま隣に腰をかける辰也。
氷室「なにか、あったのかい?」
私は夢を思い出して、目に涙を溜めながら辰也に抱きついた。
氷室「?」
「嫌な夢、見たの。私なんかいらないって言われる夢...」
氷室「そうか...それで寂しくなったんだね?」
私は黙ってうなづいた。
「辰也は傍にいてくれるよね?」
氷室「当たり前だよ。俺は離れたりしない」
「うん...うん」
氷室「不安にならないで。俺はちゃんとここにいる」
ずっと胸にしがみついていた私の手を取って優しく握り締めた。
氷室「ね?」
手から伝わる辰也の温度と優しさ。
この優しい手はずっと、私の傍にいてくれる。
「ありがとう辰也。愛してる」
氷室「俺もさ。愛してる」
end