第24章 消えないで 荼毘
一旦アパートを離れてホテルへと戻る
あのアパートはアジトから遠かったために黒霧さんがホテルを取っていてくれた。
「私の…名前は、……あの、女の名前も…」
ブツブツと声に出して整理をしていると荼毘さんが私に向かって話をし始めてくれた
荼毘「お前の親父、あの女の個性に溺れてたんだとよ。あの女に依存してたってわけ、女も女で他の男とか作ってたみたいだけど…なんであの親父に戻ったのか知らねぇけどな、だからあの女が出て行った後にお前に女の名前をつけた、」
「私の…前の名前…は…」
荼毘「お前の前の名前はなにもねぇ、個性届けも出されてない。」
「じゃ、本当に…私は…なにもない。」
名前もない
個性も使えないのならないのと同じ
何のために生まれたのだろう。
あぁ、思い出した…あの女が言っていたじゃないか…『金になると思ったのに…』って
荼毘「俺が憎いか?」
「え…?」
荼毘「俺はお前の親を殺したも同然、生きてっかもしんねぇがな。」
「いいえ…むしろ、、なんか…も、どうでも…いい。」
荼毘さん…個性って何のためにあるんですっけ?
荼毘「はぁ…」
ため息をついたと思えば私を包む暖かい何か。
目の前には白のTシャツがドアップに映る
抱きしめられてる
それが分かるのに時間がかかった。
だって、こんなこと誰かにされたのは初めてだったから。
私…荼毘さんになら、個性…使いたかったかな。
他の男には絶対使いたくない…荼毘さんだけ、
荼毘さん、いい人なんだもん。
そう思うと自然と手が荼毘さんの頬に伸びた
撫でればザラザラな肌とツルツルな肌
炎と同じ青い目
「綺麗…」
ちゅ…
荼毘さんは驚いたような顔をしていた。
目を見開いて今までに見たことない顔をしていた
まぁ、私も
「う、うわぁ!!ご、ごめんなさいっ!!」
自分からしておいて自分が一番驚いている
荼毘「…はっ、はぁ、お前…個性」
「え?」
鏡を見て見ても発動していると分かるあの女のように目は赤くもならないし、変化のない普通の目だ
荼毘「目じゃ、ねぇ…匂い」
「く、臭いですか??」
荼毘「なんか…甘ぇ」