第24章 消えないで 荼毘
地図に書いてあったのはある安物のアパートだった。
二階建てしかなく、セキュリティなんて何も無いように見える。
どこに誰が住んでいるか分からないため、見張ることになった私たち。
1階の1番左の部屋から出てきた人物に私は驚いた。
父と母が出てきたのだ。
しかも赤ん坊を抱き抱えている。
頭が混乱した。
あの2人はもう終わったはず、
え?私は?あの子は愛されているの?
私にはくれなかった愛をあの子は受けているの??
荼毘「…おい」
「っ、ご、ごめんなさい。」
2人が歩いて行く様子をただただ眺めた。
2人が見えなくなるほどにいなくなると私と荼毘で部屋の中に入る。
鍵をピッキングすればすんなりと中に入れる
中に入ればまぁ、何とも汚い部屋。
でもおかしな点がいくつもある。
さっき赤ん坊を抱き抱えていたはずだ…なのにこの部屋には赤ん坊のためのものが何一つない。
服も、食べ物も、ベッドや何もかもが揃えられていない。
それに、私はあの人たちに何を聞き出せばいいのかも知らない。
お金の場所?
いや、あの人たちはお金を貯める。なんてスキルを持っていない
入ったら入った分だけ使い切るバカだ。
荼毘「…帰ってくるぞ」
そう言われて耳をすませばコンッコンッと金属の上を歩く音が近づく
母「はーい、到着でちゅよー」
その声とともにガチャっと鍵が開いてキィーと鈍い音を立てながらドアも開く
私たちを見るなり2人は驚いていた。
まぁ、父親はもっと驚いてるだろう。
売りに出たはずの娘が今ここにいるんだから。
荼毘「いやー、どーも。」
父「な、何の用だ、」
荼毘「実は聞きたいことがあって伺いました。こちらの娘さんの個性についてです」
母「あぁ、この子の個性のことなら聞いただけ損よ。この子、個性があるのに個性使えないみたいだから」
荼毘「その個性は?」
母「フェロモンよフェロモン…私たちお金ないしこの子の個性発動が来たらどっかのおっさんとでも寝てもらって金稼ごうとしたけど個性発動が出たのは4歳の時たった1回だったもの、」
荼毘「で、次は個性が来ると願いを込めて作ったのがそのガキか。」
母「えぇ、そうよ。まぁ、この子にもでなかったら家具揃えるのも無駄金だし、揃えてないけど」