第14章 気分転換しましょう(跡部/不二)
めいこ「んひゃっ!?」
跡部「逃げんなよ」
そう言って見下ろしてくる跡部は、悪魔のラスボスのように不敵な笑みを浮かべている。
めいこは背中にツツーっと悪寒のようなものを感じた。
めいこ「む、無理無理無理」
首をブンブンと勢いよく横に振り、全否定する。
跡部「ま、普段俺様は人を露骨にビビらせるような映画は好まねーんだが、たまには大勢で観に行くっつーのも、面白そうじゃねーの」
めいこ「ひ、日吉君、これあげるからさ!あたしは他の観るわ!ホラーは他の皆さんでどうぞ心ゆくまで!」
持っていたチケットを日吉に渡し、食べ終わったカップ麺を片付け、急いで自分の荷物を背負って敬礼する。
めいこ「では!お先です!」
跡部「樺地」
跡部が指をパチンと鳴らすと、「スミマセン」と言いながらめいこをヒョイと肩に担ぐ樺地。
めいこ「ぎゃーっ!降ろして観ないかんねぇええ!」
ジタバタするめいこの叫びは届かず、映画館に到着した一行。
上映開始前にフードブースの列へ並んでいた。
今から観るホラー映画は憂鬱だったが、嬉々とした人達の話し声や、ポップコーンと紙の真新しい匂いが充満した空間にいると、自然と楽しくなってくるのであった。
向日「で、席取ったけど、どうすんの?並び」
忍足「ここは平等にジャンケンちゃう?」
芥川「俺キャラメルポップコーン!」
めいこ「アタシタチミセキー!」
その後ろで勢いよく手を上げる2人。
日吉「何言ってんだ、今作一番怖いって話しなんだからお前は中央だろ。しかも3Dだからな、覚悟しとけよ」
めいこ「覚悟しない。怖さは画面から飛び出さなくていいと思う」
真顔で日吉に反論するめいこ。
宍戸「お前ほんと苦手なんだな」
めいこ「そっそういう宍戸先輩はどーなんですかっ!」
余裕の笑みだった宍戸は、少し戸惑った表情を見せる。
宍戸「えっ?俺か?オレハヘイキニキマッテンダロー」
めいこ「カタコトになってんじゃん!」
宍戸「コ、コワイナンテ激ダサダゼ、なぁ長太郎?」
めいこから目をそらし、横の列に並んでいる長太郎に助けを求める。
鳳「はははは」
鳳は苦笑いを浮かべながら、2人分のドリンクを注文していた。