第10章 フラグ回収フラグ折り(跡部/仁王/観月)
観月「ンフフ、どういたしまして、こういうのは得意なもので」
めいこ「あの、お礼はどうしたらいいでしょうか?」
観月「お礼?そうですねぇ...」
観月は少し髪をいじりながら考えた後、ニヤリと笑った。
観月「ここじゃなんです、場所を変えましょうか」
小声で話したと思ったら、めいこの右脇腹あたりに、スルリと観月の細い手が回った。
観月「服を乾かしてる間、中で話すのはいかがですか」
めいこ「ええっと...」
他の学校の人、控室に入れてもいいもんなのかな、観月先輩のこともあんま知らないし...。
もしかしたら何か探りを入れられる可能性も無きにしもあらず。
観月「立ちくらみするかもしれませんから、頭を下に向けながら、ゆっくり立ってくださいね」
なワケないかー!
めいこ「はぁい」
会ったばかりの自分を気遣ってくれる人に悪い人は居ないだろうと、差し出された手を安心して掴みながら、腰を支えられて立ち上がった。
めいこ「観月先輩ー、この服、ここに引っ掛けとけば乾きますかね?」
めいこはすぐ横にある木の枝を指さした。
観月「そうですねぇ、この陽気ですから数分もあれば乾くでしょう」
めいこ「はい、じゃあかけときまーす」
それからめいこ達は控室に入っていった。
先程のベンチに2人で座ると、「ではさっそくですが...」と観月が切り出す。
観月「先程、カメラで花も撮っているようでしたけど、そちらに興味はありますか?」
めいこ「え?そんなとこまで見てたんですか?!...まぁ、好きですね、ガーデニングとか楽しいし」
観月「おや、それなら丁度良かったです」
ニコニコとしながら、鞄から細長い紙を2枚取り出した。
観月「知り合いから頂いた物が余っていまして」
『秋の薔薇とガーデニングフェスティバル』と書かれたチケットは、沢山の薔薇が敷き詰められた写真でデザインされていた。
めいこ「かわいぃい!」
観月「これに付き合っていただくのが、僕へのお礼ということで、どうです?」
めいこ「え、いいんですか?!行きます!でもなんか、あたしの方がお礼されているような...」
観月「んフフッ、1人よりも誰かと行った方が楽しいですから」
めいこ「確かに」