第10章 フラグ回収フラグ折り(跡部/仁王/観月)
仁王「じゃあ、またの」
背中を向けて歩きだした仁王に、めいこは小さく手を振った。
めいこ「仁王さんばいばーい」
仁王はそのまま手だけ振って答えたのだった。
跡部「チッ、油断も隙もねぇ」
跡部は踵を返して足早に控室へ向かった。
めいこ「ぶちょー、仁王さんと知り合いでした?」
跡部「あん?知り合いというほどでもねーよ。あいつは食えねーやつで有名だからな、お前も気をつけろよ」
めいこ「うーん?あ、じゃあ、観月はじめさんって知ってますー?」
跡部「あぁ、名前はな。それがどうした」
めいこ「さっき泥ついたとこブラシで払ってくれて、そのままもらっちゃいましたー」
跡部「そうかよ」
めいこ「あとダジャレ言う人達の1人から、さっきpontaをいただいてー、それがブシャーって吹き出してー、バンダナ巻いてる小さい少年からは凍ったペットボトルいただいてー、あ、このブレスレットは仁王さんですねー」
跡部「めいこ」
めいこ「ん?」
ボンヤリする頭で跡部を見上げる。
また名前で?
跡部「お前俺様に妬いて欲しくて言ってんのか?」
めいこ「えっ?なんで?」
跡部は少しムスッとした顔をした。
控室前に着くと、めいこを抱えたまま器用にドアを開けた。
そのまま右の壁際に置いてある(芥川が先程寝ていた)ベンチまで歩くと、静かに下ろす。
めいこは額に手を当てて、フゥとため息をついた。
跡部「水をもらってくる」
めいこ「あいや大丈夫です、あたしが...」
跡部「いい、このくらい甘えとけ」
めいこ「め、面目ない...」
跡部「フッ、お前はいちいち言い方が変だな」
めいこ「がーん」
横のウォーターサーバーで水を汲んでもらっている間に、めいこは薬の箱を空けた。
跡部「ん」
めいこ「ありがとーございます」
差し出されたコップをペコリと会釈して受け取ると、薬を口に含んで水で飲み込んだ。
めいこ「あの、ありがとうございまし...」
突然フッと目の前が暗くなったかと思うと、一瞬唇に何かの感触があった。
めいこ「ん?」
近距離には反応を伺うような跡部の顔があった。
めいこ「ふん??」