第1章 脳天気マネージャー(跡部)
跡部「....」
めいこ「カッコつけてるけど、ホントはそうやって皆の事、気にかけてくれるから、だから皆ぶちょーのこと好きなんですね、多分」
跡部「..そういうお前は?」
めいこ「え?」
声の近さに振り返ると、跡部の顔が目の前にあって反射的にしゃがんでしまった。
めいこ「もー!だからそれやめてくださいってばー!」
跡部は楽しそうだ。
めいこ「嫌いではな...いです」
しゃがんで下を向きながら答える。
跡部「ま、なんでもいーけどよ」
めいこ「ガーン!」
跡部「干すの手伝ってやるよ」
めいこ「え!跡部様がまさかの主夫!」
跡部「なんでそーなんだよ。お前らの中で俺はどーなってんだ、ったく」
めいこ「俺様跡部様です」
跡部「そーかよ」
跡部は籠に入った服を掴むと、ぎこちない手付きでハンガーを通し、かけていった。
めいこ「でもあたしは、そういうの関係なく、女子とか男子とかぬきで、ぶちょーと、友達になりたいです、けど...」
おずおずと話すと、跡部は少し驚いた顔をする。
跡部「なんだイキナリ」
めいこ「えっと、だから今、いっぱい話せたの、すごく嬉しいです」
跡部「.....そんなこと言うやつは初めてだな。だいたい、ダチになろーつってなるもんじゃねーだろ」
めいこ「そ、そうなんですけど...」
ちょっとしょんぼりする。
跡部「それとも、なんか下心あってそんなこと言ってんのか」
めいこ「へ?」
跡部「な、ワケねーな。お前は能天気だもんな」
めいこ「能天気じゃないです!!」
跡部は笑っている。
ほぼ素の状態で女子と話したことなど今までほとんど無かったが、彼女の雰囲気がそうさせてくれるようだ。
部活内でも1人変な奴が入ってきたものだなと遠目からみてはいたが、こんな奴だとは、思わなかった。
豪雨にみまわれて、こいつがここにいなきゃ、話もほとんどしないまま卒業しただろうとぼんやり考える。
沢山あった洗濯物を干し終わる頃には、もう雨も上がっていた。
めいこ「ありがとうございました、めっちゃ早く終わった」
跡部「このくらいどうってことねーよ」