第1章 脳天気マネージャー(跡部)
跡部は数着ハンガーを通しただけで、直ぐにめいこより手際がよくなっているのであった。
彼女は一生懸命やっていたのでそんなこと気づきもしない。
めいこ「でもやっと雨やんだのにもう夕方ですよぉー!!部活終わりじゃーん!!」
跡部「しょうがねーだろ、そういう日もある。ま、干したのはエアコンタイマーで送風つけとけば乾くだろ」
めいこ「でも忍足先輩達と選んだとっておきだったのにー、太陽の匂いになった洗剤の香りを堪能したかったのにぃー!!」
跡部「忍足?」
めいこ「昨日たまたま会って、3人で選んだんです。ぶちょーはこの匂いどうですか?」
跡部「...悪くはねーな」
めいこ「可もなく不可もなくですか」
跡部「そんなところだな、まぁ俺様はもっと...」
めいこ「あーっ!!」
跡部「っっ何だ」
めいこが何かに指を指したので、後ろを振り返る。
めいこ「ぶちょー虹!虹ですよ虹ー!おっきー!!」
そこには昼間と夕方の色がまざりあった幻想的な空の中に、大きなアーチを描いた虹があった。
けれど跡部は虹ではなく、窓際に駆け寄ってきためいこの横顔を見ていた。
夕日が映り込んだ瞳はきらきらしている。
跡部「かわいいじゃねーの」
思わずそう呟いてしまった。
めいこ「えっ?」
跡部「いや、虹がな」
とっさに窓の方をみれば、それは確かになかなか無い光景だった。
めいこ「ぶちょーでも虹がかわいいとか思うことあるんスね」
めいこはガラケーを構えて写真を撮っている。
めいこ「うわーぜんっぜん映んない。一眼持ってればよかったー!ぶちょースマホだったりします?!」
跡部「当然だろ」
ズボンのポケットから取り出す。
勿論練習中には入れていないが、さっき場所移動する際にたまたま入れていた。
めいこ「あーっ!それめっちゃ良いカメラのやつじゃないですかー!お願いしますあたしのかわりに虹撮って後でください!」
跡部「しょーがねーな」
めいこの頭をくしゃっと撫でる。
めいこ「な、なんですかもぉ〜」
言われた通りにカメラで虹を撮った。
めいこ「うわ、色めっちゃきれいじゃないですか!ありがとうございます」