第8章 我らがエリザベート(滝/数多)
めいこ「そうなんですよ!馬だからなのか皆さん警戒心なく色々気さくに話しかけてくださって、こんなに物もいただきましてで..」
滝「やっぱりフラグ立っちゃったかな」
滝はポソリと呟いた。
めいこ「え?何ですか?」
滝「何でもないよ、それで?」
めいこ「はい、それでですね、今までに無いくらいの初対面の人との打ち解けで、もうあたし馬の方がいいんじゃないかと!」
滝「アハハッ!そんなことないのに」
滝は抱きついてきためいこを軽く支えながら、被っている馬の鼻をそっと撫でた。
めいこ「ってだから馬じゃないってばー!もぉお!」
めいこはビョーン!と伸びて、滝から離れた。
彼は再び、ビデオカメラ越しにテニスコートをみた。
滝「ごめんごめん、フフッ..でもほんと、君は魅力的だから顔に関係なく人は集まってくるんだろうね」
めいこ「魅力的?!どこが?!」
滝「そういうとこも含めて、全部」
めいこ「ぜんぶ..?わからん」
滝「だからそんな、悲観的になるんじゃないよ」
めいこ「うーん?」
滝「お返事は?」
めいこ「あい」
滝「フフフッ、素直でよろしい」
滝はめいこの肩をポンポンとたたいた。
めいこ「あの、ところで今試合どんな感じなんですか?」
滝「んー、ちょっと向日がバテ始めてきたかなー」
めいこ「マジですか」
めいこは心の中で、向日の背中にガンバレー!とエールを送った。
む、なんか背中に熱い視線を感じる。
と思った向日であった。
滝「ところで、俺の迷子札きいた?」
めいこ「いやきいたのか全然分からなかったです」
滝「それもそうか。せっかくつけたのにその首にかかったタオルで隠しちゃってるんだもんね」
めいこ「だって恥ずかしいもん!」
それからというもの、熱い戦いの末に向日と忍足達は負けてしまったが、次々に白熱する試合が繰り広げられた。
めいこが息を呑んで皆の試合を見守り続ける中、一際声援が湧いた跡部と手塚の試合が今終わった。
めいこは自分の大きなスポーツバックから冷却スプレーと保冷剤を出すと、横にいる滝に青学へ渡してほしいと頼んだ。
滝「え、何で俺なの」