第8章 我らがエリザベート(滝/数多)
すると今度は銀髪の人が、手をピストルの形にしてコチラに向けてきた。
仁王「....バキューン」
撃たれたー!
ノッためいこはその場に倒れ込んだ。
仁王「プピッ、命中ぜよ」
赤也「ちょっ!何してんスか先輩!馬さん可哀想じゃないスか!」
仁王「試合が終わったらアレで焼肉するぜよ」
赤也「マジすか!それなら俺もー!」
2人がにじり寄って来たので、危険を感じてガバっと起き上がった。
赤也「あ、生き返った」
仁王「急所を外したようじゃの」
丸井「いや、あれは美味そうじゃねーだろぃ」
後ろから赤い頭の少年が歩いてきて、呆れた声を出す。
赤也「丸井先輩、言っとくけどソッチの喰うじゃないスからね?ノリっすからね?」
丸井「分かってるって、ワカメ君」
赤也「誰がワカメかコラァ!!」
天パの少年はイキナリ顔つきが変わったかと思うと、走って逃げた赤い髪の少年を追いかけて行ってしまった。
銀髪の人はじぃっとコッチを見ている。
仁王「なぁ、馬のおまはん、コレやるぜよ」
こちらに歩きながらポケットから何かを出し、アヒル座りのままでいるめいこの前でしゃがみ、差し出して来た。
受け取ってみると、青い色のシリコンブレスレットのようだ。
仁王「虫除けリングじゃき。まぁよう分からんが頑張りんしゃい」
めいこはとりあえず会釈する。
仁王は肩をポンポン叩くと、ゆっくり立ち上がって行ってしまった。
またもらっちゃった...。
さっそく左手首に付け、撃たれたフリをした時についたお尻の土をパッパと払うと、再び歩き出した。
横のコートをみると、どこも白熱しているようだが、他校の知識がないめいこにとっては何が何やらであった。
でも、なんかわかんないけど、汗流して一生懸命テニスしてるのって、かっこいいよなぁ。
あと、ボールを打つ時に聞こえる、トコンって、あの何とも言えない音。
聞いてて心地がいいんだよねぇ。
しばらくボーっとしながら試合をみて、一眼を構えて何枚か気ままに撮ったのだった。
誰撮ったのか分からんけど。
観月「ちょっと何ですかアナタ?!偵察のつもりですか?」
左を向くと、これまた天パの少年が立っていました。
でもさっきの人よりウェーブがかかっているような?
あれ、この人ペンとメモ帳持ってる。