第8章 我らがエリザベート(滝/数多)
滝「はい、迷子札完成〜」
めいこ「はーっ?!」
パッと離れた滝は、満足そうな顔をしている。
慌てて首に手をやり、血がついてないかどうか確認する。
滝「ちょっと!フフフ、そこまで噛んでないよー」
めいこ「痛かったもん!なんかちょっとジンジンするもん!」
涙目で訴えたところで顔が見えないので、意味が無いのであった。
滝「ごめんね、ちょっと加減わかんなくて。でもこれで馬のお面とっても悪い虫が寄って来ないでしょ」
めいこ「いやコレなくてもあたしなんかに寄ってくるわけないでしょーが!」
滝「こら、あんまり自分を低評価するんじゃないよ」
めいこ「そんなこと言ったってぇー」
滝「もし馬のお面外さないんだったら、めいさんって結構声がかわいいから、言葉は発さない方がいいと思うよ」
めいこ「へ?!」
滝「じゃあいってらっしゃーい」
滝はニコニコと手を振りながら、ビデオカメラのある場所まで戻って行く。
声、かわいいとか、初めて言われた...ってかこんな跡つけられたら恥ずかしくて外せるかよぉおおお!
しょうがないので自分のタオルを肩からかけて首元を少し隠した。
さて、どこから回ろうか。
キョロキョロ辺りを見回すと、頭にヘアバンドを巻いた少年がキラキラした目でコチラを見ていた。
と思ったら、イキナリ全力疾走。
壇「ダッダダダダァーン!馬さんですか?!こんにちわです!よかったらこれどうぞ!」
畳み掛けるように言われてから、ズイッとペットボトルを差し出された。
壇「ソレ暑そうですから、凍らせたペットボトル差し上げますです!がんばってください!」
めいこがペコリと会釈すると、壇は手を振りながら行ってしまった。
か、かわいかった...。誰だったんだろう。
さっそく凍ったペットボトルを首元にあてがいながら、コート沿いをブラブラ歩く。
はぁー、つめたー、生き返るー。
着ぐるみの人ってもっと大変なんだろうなぁ。
切原「先輩、あれ何スかね?」
今度は黒髪天然パーマの少年に指を刺された。
隣にいる銀髪の人はペットボトルを開けているところ。
仁王「何って、馬じゃろ」
とりあえず手を振ってみると、黒髪の人がすごいニコニコしながら手を振り返してくれた。
か、かわいい!!