第8章 我らがエリザベート(滝/数多)
本体には「氷学テニス部品」と書かれたシールが貼られている。
めいこ「うーん、うーん、じゃあお言葉に甘えて、ちょっと散歩して来ようかなぁ」
滝「うん、いってらっしゃい。迷子にならないようにね」
めいこ「はぁい」
滝「携帯は持ってる?あと時計」
めいこ「大丈夫です、両方持ってます!」
小さなポーチの中身を確認する。
滝「あ、そうそう、あとニンジン」
めいこ「はいニンジ...馬じゃないから!」
滝「クスクス、なに、今日一眼カメラまで持ってきたの?」
めいこ「いやー、ベストショットがいつあるか分からないじゃないですか」
あの時も虹、ガラケーじゃ上手く撮れなかったし。
まぁ、結果的にぶちょーから素敵な写真頂きましたけども、やっぱ自分でも撮りたいし。
滝「この視野の狭い馬で撮れるの?」
めいこ「うーん、外したくなってきた」
滝「...あ、いいこと思いついた。」
少し上を向いて何かを考えていた滝だったが、思いつくとニコッと笑った。
滝「めいさん、ちょっとそのままじっとしててね」
めいこ「はい?」
滝がめいこの首元まで、顔を寄せてきた。
めいこ「はいっ?!」
滝「こら、そのままね」
跡部はめいこ達が何やらワタワタしているなと横目で見ていたが、チラッと顔を向けると、急接近してきた滝に腰と首後ろをガッシリ掴まれていたところだった。
跡部「っっ!!エリザベート!」
小声で叫びながら、思わず立ち上がりそうになる。
榊「どうした」
跡部「い、いえ、なんでもありません」
思わずエリザベートと叫んでしまった自分に少し顔が赤くなったが、またキリッとした表情に戻した。
めいこ「滝先輩?!何?!」
首筋に吸い付くような感覚があった後、滝がゆっくり離れた。
眉間にシワを寄せ、困ったような顔をしている。
滝「あれ、ついてない」
めいこ「は?」
滝「キスマークってどうやってつけるの?」
めいこ「いや知らないし何してんスか!」
確かに中学生でキスマーク手慣れてるやつなんてなかなかいないよ!
滝「もっと強い方がいいのかな」
再度首筋に口が当たる。
めいこ「いった!」
ぎゃー!なんか、首元噛まれてる?!バンパイアかよ?!