第6章 振り回される(日吉/跡部)
日吉「あの人、自分のアドレスは女子には教えてないはずだけどな」
めいこ「え、そうなの?」
日吉「あぁ、流出した途端に凄いことになるからな」
めいこ「アイドル張りですね」
日吉「で、お前は恋愛小説を読んでたんだな」
めいこ「え?あぁ、まぁ、うん」
日吉「これも感情移入して読んでたのか?」
めいこ「うーん、まぁ、多少は?」
日吉「なるほどな...フッ」
めいこ「な、なに?」
意味有りげに笑った後、日吉は立ち上がった。
日吉「いや、降りるぞ」
めいこ「あ、もう着いた?」
電車を降りて出口へ向かうと、改札外のど真ん中で、仁王立ちする見知った姿があった。
めいこ「あー、あー、日吉さんあの人誰だろう」
その人物は目立ち過ぎるあまり、すれ違う人に何度も見られ、変な波が出来ていた。
日吉「お前、部長と待ち合わせてたのか?」
めいこ「いやいや、今最寄り駅付きそうって送っただけだし!うわ目が合った!」
跡部は真っ直ぐこちらへ歩いてきた。
日吉「おはようございます」
跡部「あぁ、おはよう。....和栗、何で日吉の後ろに隠れてんだよ」
めいこ「いやなんかとっさに」
跡部「俺様に、モーニングの挨拶は無しか?あーん?」
めいこ「ご、ごきげんよう!」
跡部「ごきげんよう!」
日吉「ノリノリじゃないですか」
跡部「じゃあ行くぞ」
跡部を先頭に、日吉とめいこは並んで歩き始めた。
めいこ「でも何でぶちょーが駅に居たんですか?車だったんじゃ?」
跡部「あぁ、試合会場は駅から少し歩くらしいからな。タイミングが合うようなら、方向音痴のお前を迎えに行ってやろうと思って、ここで降りた」
めいこ「へぇ、ありがとうございやす」
跡部「ま、日吉が一緒だったんなら、わざわざ俺様が待っていることも無かったな」
日吉「俺はたまたま、反対方向に行こうとしたコイツを捕まえただけです。勘違いしないでください」
めいこ「捕まえたて」
跡部「そうか、でかした日吉」
めいこ「でかしたて」
道先に、コンビニの看板が見えてきた。
ぼーっと眺めながら歩いている内に、めいこは閃いた。
あそこならブタブタ麺があるかも!