第6章 振り回される(日吉/跡部)
断る理由も無いので、アドレスを見ながら携帯に打ち込むという、最近じゃ見かけない作業をしていた。
めいこ「はい、できたよー」
日吉にスマホを慎重に返した。
日吉「じゃあメール送れ、あと電話番号も」
めいこ「....うん、はい、送ったー」
数秒後、スマホのバイブが鳴って、無事アドレス交換できたことを告げる。
日吉「....」
めいこからのメールには電話番号と、
[よろしくピヨシ!氷帝!氷帝!\(^o^)ノシ]from.めいこ
という謎のメッセージも添えられていた。それに対して日吉も返事する。
[何だそのピヨシって(ー_ー;)]from.日吉
めいこ「っえ!!日吉君、顔文字とか使うの?!」
日吉「なんだ、悪いか」
めいこ「いや悪くないけど意外というか...」
[٩(๑òωó๑)۶プンプン]from.日吉
めいこ「ハハハハハ!かっわいいな!!何だこの絵文字!」
日吉君、メールだと可愛くなる説。
日吉「だからピヨシって何だよ」
めいこ「え、何か一部の人たちが、愛情を持って影でそう呼んでるから...」
日吉「俺はヒヨコか」
めいこ「は?」
日吉「和栗...」
めいこ「だからその哀れな表情やめてよぉ!」
そう言って腕で顔を隠しためいこを見た後、はぁ、と1つ溜息をついてから立ち上がった。
めいこ「え!何処行くの?!」
日吉「何言ってんだ、乗るぞ」
目の前には、ギュウギュウパンパンの電車が到着したのだった。
めいこ「なんかいつもより混んでる...」
日吉「そうだな、休日で夏休みも始まったばかりだからな」
2人とも慣れてはいるものの、暑い日にこの中に入っていくのは結構滅入る。めいこはドアのギリギリに、後ろから何とか入ろうとしていた。
「ドア、しまります」
めいこ「やばやば!」
慌てるも、バランスが取れず片足が入らない。
見かねた日吉は、めいこの肩に左腕を後ろから回し入れ、グイっと自分に引き寄せた。
直後に、プシューとドアが閉まる。
めいこ「ふー、ありがとう」
日吉「お前のせいで電車が遅れたら敵わん」
めいこ「あい...」