第4章 明日に備える(跡部/宍戸)
瞬時に面白そうだと判断した跡部は、ニヤリと笑いながらめいこを後ろから羽交い締めにした。
めいこ「へ?」
宍戸「仕返しだぜ和栗!」
頭に何やら被せられたかと思うと、それはスーッと引き上げられた。
その途端、触れているところがゾワゾワするような何とも言えない感触がくる。
めいこ「ふぅっわ!?」
宍戸「どうだ!参ったかよ!」
めいこ「わーわーわーまだ感触が残ってるーいやー!」
跡部から開放されためいこは、頭を抑えて悶ている。
跡部「何だその泡立て器のような物は」
宍戸「あぁこれか?頭皮マッサージ用として売られてんだよ」
跡部「それが何でそんなに悶える」
宍戸「やってみるか?」
ニタニタしながら跡部の頭にかぶせる。
跡部「...何ともねぇな」
めいこ「いやいや抜くときにですね」
宍戸がスッと頭から引き抜いた。
めいこ「大きい蜘蛛が頭にくっ付いたような感触が...」
宍戸「あ馬鹿!」
その瞬間、ビシッと音がしたように跡部が固まった。
宍戸「あーあ」
めいこ「....ぶちょー?」
顔を覗き込んでみるが反応がない。
めいこ「おーい、生きてますかー」
目の前で手を振ってみる。
宍戸「和栗、コイツ蜘蛛とか苦手なんだよ。せめて他の言葉で表現しようぜ」
めいこ「えっ!そうなの?!苦手なものとかあるんだ!」
跡部「く、頭皮マッサージ器...やるじゃねーの」
少し生き返った跡部はガクリと膝をついた。
めいこ「大変だ!ぶちょーが『考える人』みたいなポーズになっちゃってる!」
宍戸「あーワリィ、跡部」
めいこは跡部の前にしゃがみ込む。
めいこ「ぶちょー、ごめんね?」
めいこは済まなそうに微笑んだ。
コイツ分かっててわざとやってんのか、とたまに思う跡部であった。
よろよろと立ち上がる。
跡部「......宍戸、コイツに免じて許してやる」
宍戸「俺だけのせいかよ!」
めいこ「ぶちょー!」
めいこはもう既にちょっと遠くにいて、他の商品を見ていた。
めいこ「すごいですよこの折りたたみベンチー!フカフカー!背もたれも肘掛けも付いてます!」