第34章 宿題もおやつに入りますか?
宍戸「何してんだ?あいつら」
鳳「さあ?」
向日の手を退け、開け放たれたワイシャツから覗くものを、自信満々で見せつける。
めいこ「じゃーん!蓄光シャツ!」
向日「はあ?!」
暗がりの中凝視すると、確かにシャツが僅かに光っている?ジンベエザメが光っているような??
めいこ「迷子防止なんだぜ!」
向日「お、おぉん、偉い。意味無いかもしれないが心構えが偉い」
めいこ「ほんと?!」
向日「てか、前持って言え。突然脱ぎ出すんじゃねー…」
小言を言い始めた向日を置いて、めいこは嬉しそうに蓄光シャツを皆に見せていた。
そこでハタと気づく。
めいこ「あれ?日吉君と芥川先輩と樺地君は??」
跡部「日吉は飛行機で酔ってバスで休んでる」
鳳「樺地は芥川先輩が起きないし、日吉もいるからバスに残るって言ってたよ」
めいこ「えー!そうだったの!?」
後で身体に良さそうなお土産とか、好きそうなものとか買ってあげよう。
水族館内は各自の見るペースも違うだろうということで、12時の館内レストラン集合までは、自由行動となった。
さっそく館内タイムスケジュールを確認する。
あと数分でジンベエザメさんとダイバーさんの遊泳が始まるじゃないですか!
誰かさんに取っ捕まると間に合わない!さらば!
気づかれないよう皆の背後を駆け抜け、遠い会場を目指した。
跡部「おい和栗、逸れやすいから俺と…って居ねえ!」
忍足「ちっこいし、ここ暗いからなぁ、気づかんかったわ」
向日「蓄光シャツの意味はよ…」
滝「まぁ、小さい子供じゃないんだし、携帯かければ大丈夫じゃない?」
後ろの宍戸が「うわ何か踏んだ!」と叫ぶ。
鳳「あれっ、これってめいさんのですよね?」
宍戸が踏んだものを拾いあげると、よく見る携帯であった。幸い、ヒビは入っていないようだ。
跡部「あんのバカ…」
跡部は眉間あたりがガンガン痛くなってきて、思わず手で押さえた。
滝「まぁまぁ、集合場所も決めたんだし」
向日「あの鬼のように方向音痴の和栗が着けるか分かんねーぞ」
皆、無言になる。
宍戸「ま、何とかなんだろ!俺達も水族館楽しもうぜ」
鳳「男前ですね宍戸さん!」