第33章 【番外】そんな暗い顔しないで(鳳)
めいこ「なんか用事があるとか言ってたので、ここで待ってます」
鳳「そっか………あのさ!」
めいこ「ん?」
意を決したように切り出した鳳だったが、振り向いためいこの顔が意外と近くにあったことに動揺してしまい、直ぐに視線を逸らした。
鳳「あ、いや、えっと、上手く言えないんだけど、この前俺、元気づけられたし、お返しがしたいんだけど、ええっと…なんだろうな」
めいこ「うん??」
鳳「何か困ったこととか、悩みとか、無い?」
めいこ「困ったこと……あっ!忘れてた!美術の宿題!」
鳳「宿題?」
めいこ「うんそう!この間の美術、鳳君も休みだったとき、私も丁度風邪引いて休みでさ〜。先生にその日やった課題を夏休み中やるようにって、鳳君の分までプリント貰ってるの忘れてた〜!どひゃ〜!!」
めいこは慌てて自分の鞄の中を探した。
鳳「そうなの?先生、俺に直接言えばいいのに何で…」
めいこ「部活一緒だから会うだろって」
鳳「確かにそうだけど…」
めいこ「あった!」
少し折れ曲がったプリントには、「ペア同士で肖像画を描く」とある。
鳳「えーっと、つまり、向かい合って描くのかな?」
めいこ「そうらしいよ。うちら2人でやったらと言われた」
鳳「困ったな。和栗さんのこと、そんなに長く見れないよ。今だって…」
めいこ「えーっ!何で!?」
鳳「その………笑っちゃいそうで」
めいこ「笑っちゃいそうで?!」
めいこは前のめりになる。
鳳「う……」
めいこ「うわーん!確かに不細工だけども!知ってるけども!」
顔を手で隠して絶望していると、鳳がそれをどけようと掴んだ。
鳳「わ、う、ごめん!嘘!不細工な訳ないよ!俺は可愛いと思ってるし!」
めいこ「へっ?」
鳳「あっ!」
顔を上げると鳳の顔がさっきより近距離で、両手は大きな手に包まれていた。
鳳「…お、俺…」
石山「おーまた!!」
「「うわーっ!!」」
背後から突然声をかけられ、2人は2cmほど宙に浮いてから、ベンチから転げ落ちた。
石山「…あ、お邪魔でした?」
めいこ「違う違う違う!」
鳳「うん、今宿題について真剣に話してたから!」