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【テニプリ】まずは友達から

第33章 【番外】そんな暗い顔しないで(鳳)


テニスコートのトンボ掛けを終えて、蝉に細心の注意を払いながら、鳳達と道具を倉庫の中に返した。

日吉「おつかれ」

めいこ「おつかれ〜」

更衣室へ行こうとして、鳳に呼び止められる。

鳳「あ、着替え終わったらちょっとここで待ってて、渡したいものがあるから」

めいこ「うん?分かった」

何だろうと思いながら、手早く着替えを済ます。

ビリッ

めいこ「あ」

手早く済まそうとしたせいか、汗で張り付いた服が上手く脱げず、何処かが破れた音がした。
慌てて探そうとすると、ロッカーからはみ出ていた着替え袋の紐が引っかかり、ドサッと全部床に落ちる。

めいこ「あぁ〜!もおおお!」

暑いときの上手くいかなさって、どうしてこうもイライラするのか。
これじゃあ余計、彼の方が早いだろう。

数分後、やっぱり鳳の方が先に出て、横のベンチで待っていた。

めいこ「っごめ、お待たせ」

鳳「ううん、丁度来たとこだよ」

鳳は、ビニール袋を手渡した。

鳳「はいこれ、ありがとう。この前借りたままだったやつ」

めいこ「??」

はて、なんだったっけ?

まじまじと渡された袋を見ていると、鳳は照れ臭そうに、少しうわずった声になった。

鳳「あのホラ、試合の後に、ちょっと…勿論洗ったよ!ジュースの匂いも取れてると良いんだけど…」

めいこ「ああ!馬!」

鳳「う、うん…一応、持ち帰りやすいように、小さめに畳んだんだけど…」

めいこ「わー、わざわざありがとう」

鳳「いや…」

めいこ「日吉君は?」

鳳「先に帰ったよ」

めいこ「そっか」

そういえば、鳳君と2人でゆっくり喋るのって、初めてかも。

昼間より、蝉の声がいくらか少なくなって、じんわりと湿った空気が流れてきた。

鳳「そのお面、母親に隠れて洗ってたんだけど、外に干してるの忘れちゃってさ、結局、キャー!って驚かれちゃったんだよね」

めいこ「あははは!確かに洗濯物に馬干してあったらビビるわー!」

鳳「ほんとだよね」

めいこはその様子を想像したら、ますます笑いのツボに入り、手をバシバシたたいて笑っていた。

鳳「さっきより元気出たみたいだね、良かった」

めいこ「へ?」

鳳「いや…ところで、石山さんは?」
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