第29章 付いてくならトコトン(跡部/千石)
跡部「あぁ、なるほどな。そんなとこだろうとは思ったぜ」
めいこ「さすがインサイトの人!!」
跡部「お前、俺を馬鹿にしてんのか褒めてんのかどっちだ」
頭部を片手でガッと掴まれ、めいこは「オギャー!褒めてます褒めてます!」なんて情けない声を上げた。
跡部「…ありがとな」
めいこ「え?」
頭に手を置いたまま、少し屈んだ跡部の顔が、目の前にあった。
澄んだ目には、少し乱れた前髪がかかっている。
跡部「とことん付いて来るからには、栄光のロードを歩ませてやるよ」
低い声で囁くように呟くキザなセリフが、耳にビリビリと伝わって、心地良いのは何でだろう。
めいこは自然に目を閉じたが、唇の感触はなく、顔の前に風がおきた。
「はいストップストップストップーッ!」
え!誰?!見られっ?!
驚いて物凄い後ろに飛のいてしまった。
跡部がムスっとして手を擦っているのを見るに、チョップでもされたんだろうか。
その相手をみて、なおさら驚いた。
白のズボンにオレンジ色のくせっ毛頭。
めいこ「ファーッ!キヨ先輩!!!」
跡部「キヨセンパイ?」
千石先輩とは猫カフェでたまたま会って、もう一回は迷子中にやっぱりたまたま会って以来だ。
以後、お互い忙しくてなかなか会う機会も無く、携帯でメッセージ交換をたまにやり取りするぐらい。
千石「めいこチャーン!お久ー!」
跡部「めいこ?OHISA????」
跡部が一瞬でキャパオーバーした。
跡部「一体どういう…」
千石「それより跡部くん跡部くん!うちの学校から来た子達が早く跡部くんのテニス見たいってい探してたよ!それに榊先生も!」
跡部「……めいこ、行くぞ」
めいこ「はi…」
千石「あ、めいこチャンとは、ちょーっと話す約"束"してるから後で行くよ〜」
ニコニコ手を降る千石を、跡部はジトッと睨む。
千石「ダイジョブダイジョブ!何にもしないからー!」
跡部はハァとため息をついて、小走りでコートの方へ向かって行った。
めいこ「あの、約束って??」