第29章 付いてくならトコトン(跡部/千石)
ゆゆかを見つけ、おはようと駆寄った。
めいこ「いやー、すごい人だね」
石山「いや予想以上にすげー集まってビビった」
めいこ「さすがアイドルテニス部ですわね」
石山「ね」
めいこはゆゆかと打ち合わせすると、屋上に上がって合図を待つことにした。
ここにも大勢の生徒達がいる。
コートを見下ろしていると、榊先生は部員達を集め、全国大会特別出場ということを告げたようで、みな色めき立っていた。
跡部はというと、外れのコートで猛練習している。
他のレギュラー人が跡部のところへ報告に向かおうとしたところで、ゆゆかから携帯にメッセージが届いた。
皆、何を言っているかまでは聞こえない。
けど、ぶちょーに、一生懸命何か言ってる。
よし、やるかっ!
めいこは柵のところに丸めてあった垂れ幕を、一気に下へ落とした。
祝 氷帝学園男子テニス部
全国大会出場おめでとう!!
「「氷帝!氷帝!氷帝!」」
こればかりは打ち合わせせていないのだが、さすが我が学園。
氷帝コールが校舎中に鳴り響いた。
レギュラーの人達も呆気に取られている。
私達が頼まれたサプライズはできた。
もう後は祈るしかないのである。
うおーぶちょー!出場オーケー出して〜!
こちらに振り返った跡部は、清々しい顔をして、指を1本空に付き上げた。
跡部「俺様と共に全国について来な!!」
ーーワァア!!ーーと、全員の声が木魂した。
自分の胸に熱が集まるのを感じる。
うそ、なんだよ、ぶちょーカッコ良すぎんだろ!!
もう私の隣の女子とか、他多数ぶっ倒れてんスけど!
朝、駄々こねた跡部様とは雲泥の差!!
その光景を、門から見ていた1人の生徒がいた。
「うわ、すっごいな〜」
めいこは顔をほころばせながら、テニスコートまで走っていく。
と、建物の陰から手が伸びてきて、左腕を思いっきり横に引っ張られた。
めいこ「ドゥワッ!」
ボスンっと勢い余って飛び込んだのは跡部の胸元。
めいこ「ぶぶぶぶ!!」
跡部「めいこ、お前図ったな」
めいこ「は?!」
跡部「ま、お前も挙動不審だったし、何かあるとは思ったぜ」
めいこ「あーや、いや、ははっ!でも榊先生がサプライズしたかったらしくて」