第29章 付いてくならトコトン(跡部/千石)
跡部「俺様に会えなくて寂しかったんだろ?」
めいこ「えっ!そうですけど違っ!」
跡部「なんだ、そこまで言っておいて。ハッキリ認めたらどうだ」
めいこ「なななな」
跡部「それとも、テニスやってる以外は好きじゃねーってか?」
めいこ「そんなわけないじゃないですか!俺様だけど皆に慕われるくらい人徳あってよく観察してるとこ好きですし、努力しまくったゆえの自信に満ちてるのとか憧れますし、それからえっと…ぶちょー?」
跡部はハァと息を吐きながらしゃがんでいた。
跡部「分かった、もういい、好きだ」
めいこ「……は?」
衝撃的過ぎて、目の前の景色がチカチしだす。
跡部「俺も、頑張って空回ってるお前が、愛しいよ」
めいこ「えっ…と??」
後退しようとしためいこの腰を、跡部は優しく抱き寄せた。
跡部「とっくに、ダチ以上になってる。この先どんなことがあっても、お前に、めいこにそばに居てもらいたいと、最近思う。だから、ついてくるって言われて、嬉しかったぜ」
心臓が痛いほどに波打ち、甘い囁きにクラクラする。
めいこ「ううっ、まって」
跡部「まさか俺が、誰かを好きになるなんてな」
めいこ「まってー!」
顔を手で覆うも、その手すら熱い。
跡部「今の仕返しだ」
めいこ「うううう!」
跡部「で?お前は、俺の女になるよな?」
めいこ「言い方!!!」
跡部「どうなんだ」
めいこ「あ、あたしで、いいんですか?」
手の隙間から、チラリと様子を伺う。
跡部「違う、めいこの気持ちがハッキリ聞きてぇんだよ」
めいこ「よ、よろしくお願い、します?」
跡部「違う」
めいこ「う、え、えっと、多分、好き、です?」
跡部「フッ、まあいい、今はそれで勘弁しといてやる」
跡部はやんわりとめいこの手を掴むと、唇に軽いキスをし、それから頭ごと抱きしめた。
凄く温かくて、幸せな気持ちで満ちた。
あ、これ、前、髪の毛拭いてもらったときもあった。
そっか、これが好きってことなんだ。
めいこ「ぶちょー」
跡部「ん?」
めいこ「すき!」
抱き返すと、上の方でクツクツ笑う跡部が、腕の力を少しだけ強くした。