第29章 付いてくならトコトン(跡部/千石)
めいこ「えっ…と」
さっき「夏休み中」って言った「チュウ」に露骨に反応したことに対して?!
こ、ここはなるべくポーカーフェイスでいこう。
めいこ「ゴッゴホン…なっ…何に対して?」
石山「いやだから、垂れ幕」
めいこ「あぁ…うん」
ツッコミが入らなくてちょっと安堵した。
めいこ「今学割がきく印刷屋さん見つけたから、そこにお願いしようかと思ってるんだー」
石山「オッケー任した。…で、話し変わるけど、最近めい変じゃね?」
めいこ「えっ?!」
やはりソッチのツッコミが!
石山「まぁいいや、良いニュース待ってるわ」
めいこ「どゆこと?!」
何かを悟ってニタニタしている親友には、どうやら隠しきれないらしい。
めいこは冷や汗を流しながら、無言でポテトを頬張っていった。
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あれからめいこ達はマックですっかり話し込んでしまい、帰る頃には夕方になっていた。
1人足早に歩いていると、公園から玉を打つ音が聞こえてくる。
めいこ「あ」
何となく気になってそちらに目を向けると、跡部が壁打ち練習をしているではないか。
あんなとこにいた…!!
めいこ「ぶちょぉー!」
跡部「あーん?」
大喜びで駆け寄る声に、跡部が振り向いた。
めいこ「やったー!会えた、へへへ」
会えたとたん、さっきまで悩んでいたことがいとも簡単に飛んでいた。
跡部「なんだ、そんなに俺様に会いたかったのか?」
めいこ「そうですよ!」
跡部「なっ…」
跡部は面食らって、頬が僅かに赤みを帯びた。
いつもであれば、違うだの何だのと言うハズである。
めいこ「勿論皆にも久しぶりに会いたかったですけど、でも今日、ぶちょーが来なくて寂しかったですもん!」
跡部「…そうかよ」
ニヤけてしまいそうな顔を誤魔化す様に、髪をかき上げた。
めいこ「あの、あたし、ぶちょーがテニスしてるとこ好きです!これからも、とことんついて行きますから!」
跡部「…」
跡部は一瞬呆気にとられていたが、直ぐに微笑を浮かべる。
跡部「それは、告白に聞こえるんだが?」
めいこ「えっ!?」
跡部「なんだ、違うのか?」