第29章 付いてくならトコトン(跡部/千石)
関東大会の後、レギュラーの人達は7月いっぱい、しばらくお休みをもらっている。
夏休み中なのにこんな言い方するのも変な話しだが、体を休めるために、まあようは部活練習が無い。
他の部員達はその間も通常練習があったが、試合に付き添った私も、何故か同じくお休みだったので、その間に宿題を進めた。
8月に入る今日、レギュラー陣は任意の練習再開、私もマネージャー再開だ。
めいこ「おはよー!」
既に練習準備を始めている、ゆゆかの背中に声をかけた。
ゆゆか「おーっ、はよっ!」
ニカッと笑って振り返った顔は、夏休み前よりいくらか小麦色の肌になっていた。
きっと毎日マネージャーを頑張っていたに違いない。
ぶちょーは今日、練習に来るかな…?
跡部を思い出した途端、何度かキスした光景が脳内にチラつき、ボッと顔が熱くなった。
ありえん。
付き合ってもない男子と連続ちゅーなど、ありえん!
からかわれの極み!
ゆゆか「そういや、休みちゅー何してた?」
めいこ「えっ!ちゅー?!」
ゆゆか「は?」
うわしまった!
榊「和栗 、石山」
ゆゆかが何か聞こうとしたが、榊監督の声に遮られた。
ゆゆか「あ、監督。おはようございます」
めいこ「お、おはようございます」
榊「おはよう。2人に話がある。支度が済んだら準備室へ来るように」
ゆゆか「はい」
…?何だろ
2人でいつもよりテキパキ支度を済ませると、早々に顧問準備室へ向かった。
榊「先にお前達には伝えておくが、他の部員にはまだ公言しないように。今度の全国大会だが、特別に推薦枠での出場権が与えられた」
マネージャー2人から、嬉々とした声が上がる。
榊「しかし、あの跡部がすんなり承諾してくれるとは限らない。
そこで、お前達に協力してもらいたい」
榊監督から説明された提案は、随分派手だなぁと思いつつ、青春ドラマのようでワクワクもした。
めいこ「上手くいくかな?」
ゆゆか「さあ?後に引けないように陣固めってやつ?」
めいこ「その表現合ってんのかなー」
ゆゆか「まあ、ありったけ流しとくわ。ゆゆかちゃんの人脈なめんなー?」
めいこ「ははは、頼もしい。オネシャース」