第28章 【番外】貴方が気にかかる(観月)
観月は顎に指を当て、面白そうな物を見つけた子供のように笑った。
めいこはどう反応すればいいのか分からず、曖昧な相槌を返す。
観月「あれ以来、痴漢には合っていませんか?」
めいこ「はい、ダイジョブです」
観月「ならよかった。安心しました」
観月はホッと胸を撫で下ろした。
観月「しかし油断は禁物です。念のために今後は僕と登校した方がいいかもしれませんね」
めいこ「えっ」
観月「何か問題でも?まあ、夏休みの間だけですけど」
氷帝の門が近づくと、観月は眼鏡をかけてメモ帳を取り出した。
堂々偵察じゃん!
観月「では僕はこれで。マネージャー、頑張ってくださいね?」
めいこ「あ、あい」
観月にずっと見られているんじゃ、気が抜けないな、と思うめいこであった。
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観月「まったく、困ったものですよ。3度以上同じ失敗をするのを馬鹿って言うんです」
観月は部活の帰り道、同じテニス部の後輩にめいこの愚痴をこぼしていた。
観月「だいたい、今日だって…」
裕太「あの、観月さん」
観月「はい?」
裕太「その人のことが、好きなんですね」
観月「はあ?!」
観月は心底驚いた顔をして、歩みを止めた。
裕太「だって最近、その、和栗さんの話しばかりするし、その時の観月さん、楽しそうな顔してますから」
僕が?あの和栗を好き?
観月「僕は鈍感な子は嫌いですよ」
髪をいじりながら、鼻にかけてそう言い放つ。
けれど真っ赤な観月の耳をみて、裕太はこっそりと笑った。
僕は和栗のことが好き……?
確かに、そうかもしれません。
心の中で、1人自覚した観月であった。
【END】