第26章 レポート書いてたはずです(財前/跡部)
めいこ「うん、またね!」
めいこが手を振ると、財前は振り返って「それと」と、指を刺してきた。
財前「帰ったらメール寄越せや、ええな?」
めいこ「へーい」
ニコッと笑うと、財前も照れ臭そうに少し笑って帰っていった。
跡部「さて、とっとと終わらせるぞ」
めいこ「うあーぃ」
めいこはショボンと肩を落とす。
カブトムシ届けに来ただけなのにぃー。
なんか、なんか理由つけて帰りたい。
ぶちょー、スパルタな気がして怖いし!
跡部はカブトムシの入った袋をミカエルに手渡すと、めいこの心を知ってか知らずか、まるで逃げられないように肩を抱いて客室を後にした。
うわーん!
ーーーーー
数時間後。
めいこ「‥ぶちょー」
跡部「ん?」
めいこ「近いです」
めいこは顔を真っ赤にさせ、シャーペンを持つ手は緊張で僅かに震えていた。
跡部「そんなこといちいち気にしてねぇで書きな」
そう、あの後、跡部自室のソファーに座り、膝の上にクッションを当てがいながらレポートを書いている。
跡部は難しそうな洋書の昆虫図鑑片手に、めいこの体の後ろに手をついて、ジッと覗き込んでいた。
あまりにも近くて、時々頬に跡部の髪がサラサラと当たる。
いやー、不二先輩も近かったんだよなぁー。
跡部は胸元のポケットから眼鏡を取り出すと、慣れた手つきでカチリとかけた。
めいこ「ホワメッガーネ!!」
めいこはバチーンと自分の額を叩いた。
跡部「何語だ」
めいこ「あああ無理です」
跡部「あーん?」
めいこ「軽く眼鏡フェチだからドキドキし過ぎて無理です」
めいこは顔を覆いながら後ろにズルズルと後退する。
跡部「忍足も眼鏡じゃねーか」
めいこ「違うんですよ、普段かけてない人が眼鏡かけるとヤバいんですよ」
跡部「フッ、めいこ、顔見せな」
めいこ「うぐぅやだあ」
その時、扉からノックの音がしたので、後ろに反りまくっていた体を慌てて起こすと、ゴチャッ!と眼鏡と何かがぶつかった。
めいこ「ンッ?!」
そう、ぶちょーと事故ちゅーになっていたのである。
跡部「今のは俺様のせいじゃねーぞ」