第26章 レポート書いてたはずです(財前/跡部)
めいこ「なるほど、剥きエビは食べれるけど、丸ごと出てくると躊躇しちゃう系ですね?」
跡部「そういうことだ」
財前「どういうことやねん」
跡部「だが、飼育していればいずれ愛着が湧いて、俺様の唯一の苦手を克服できるかもしれねぇ。弱点の無い完璧に近づく、またとない機会じゃねーの」
めいこが歓喜の目で「さすがぶちょー!」と拍手を送っているのを、財前は冷めた目で見ていた。
財前「ほんなら、そろそろお暇しますわ」
跡部「分かった、送迎車を手配しよう」
めいこ「あ、じゃあ、あたしも帰ろっかな」
財前の後ろを付いて行こうとすると、跡部にグッと腕を掴まれた。
跡部「お前は残れ」
めいこ「へ?」
財前はムッっとして、負けじと反対の腕を掴む。
財前「部長さんすんまへん、こん子に観光案内してもろてる途中なんでスわ」
めいこは頭上にある、2人の顔を交互に見た。
跡部「めいこ。レポートは終わったのか?」
めいこ「ゔっ、あとちょっとです‥」
跡部「なら丁度良い。俺がみててやるから、ここで終わらせてきな」
めいこ「えええーっ!今?!」
財前は自分に思い当たる節があったので、そこについては何も言えないのであった。
財前「部長さん、彼氏やないんスよね?」
跡部「‥ああ、そうだが」
めいこはオロオロと、また2人の顔を交互に見ていた。
財前「なら、手ぇ出さんでちゃんと返したって下さいよ」
めいこ「いやいや、ぶちょーがあたしなんかに手出すわけないて!」
跡部「当然だろ?俺様はそんな飢えちゃいねえよ」
めいこ「ほらー!」
財前「けど、可愛いくてノロいから心配やわ」
めいこ「は?!」
財前はめいこの頭に手を置くと、自分の手の甲越しにキスをした。
跡部は僅かに目を見開いたが、めいこは頭上で何が起こったか、サッパリである。
財前「テニスも、コッチも、俺が勝たせてもらいますわ」
跡部「ほう、良い度胸じゃねーの。楽しみにしてるぜ」
めいこ「コッチ?!コッチとは?!」
財前「ほんならめいこ、また今度遊ぼうな。観光おおきに」
グリグリとめいこの頭を撫でると、財前は扉の方へ向かった。