第26章 レポート書いてたはずです(財前/跡部)
圧巻の跡部家へ着くと、(財前は終始「はぇ〜」と言っていた)今日は客室間に通された。
既に椅子に座りながら、何やら分厚い本を読んでいる跡部。
めいこ達が入ってきたことに気がつくと、立ち上がった。
跡部「来たか」
めいこ「おじゃましまーす」
財前「どうも、初めまして、財前と申しますぅー」
跡部「跡部だ」
2人は社交的な握手をかわす。
財前「えっ!?跡部て、まさかあの跡部景吾かいな」
跡部「そうだ」
財前「はえー、どうりで家も顔も見たことある気がした訳やわ」
めいこ「え、会ったことあるの?」
財前「いや、お初やけどな、テニス雑誌の特集でよう出とるから、こっちが一方的に知っとる感じやな」
めいこ「そ、そうなんだ。なんか芸能人みたい」
跡部「で、持ってきたカブトムシはどれなんだ?」
めいこ「この子なんだけど‥」
ビニール袋の上から跡部に見せる。
めいこ「もしかして、ヘラクレスオオカブトかなぁって」
跡部「‥いや、ツノの形が違うようにみえる」
めいこ「マジで?さすがぶちょー」
跡部「お前らが来るまで、決、死、の覚悟で図鑑を読んでいただけだ」
めいこ「決‥」
財前がタッパーを取り出すと、跡部はインサイトみたいなポーズで後ろに飛びのいた。
跡部「まっ、待て!早まるな、そいつを解き放つんじゃねーぞ」
財前「ん?いや、出した方が見やすいと思ったんスけど」
跡部「俺様は甲殻類が苦手なんだ、それ以上近づくなよ」
めいこ「あ、そうだった」
財前「おい」
財前がめいこの肩に、軽く手の甲チョップを入れる。
めいこ「ぶちょーごめんっ!」
跡部「めいこの頼みだ、特別だからな」
その後よく観察すると、サタンオオカブトという種類だった。
跡部「この俺様にピッタリじゃねーの。よし、こいつの名前はキングオブサタンだ!!」
「「キングオブ‥サタン?」」
めいこ「すんごい名前つけましたけど、もしかしてぶちょー飼うんですか?」
跡部「ああ、うちの庭師に昆虫好きがいてな。育て方を教えてもらうつもりだ」
財前「あんたも虫苦手やのに‥」
跡部「なに、甲殻類の関節と、光沢が苦手なだけだ」