第26章 レポート書いてたはずです(財前/跡部)
財前「なぁ...」
めいこ「...はい」
財前「この辺でなんかおもろいもんない?」
めいこ「おもろいもん?」
財前「俺、地元が大阪やねんけど、今観光で来ててん」
めいこ「へぇ、じゃあ1人で来たんですか?」
財前「いや、ダチと。そいつの実家がコッチやから、泊めてもろてる」
めいこ「なるほど。でも、うーん、この辺だとあんま無いかなぁ、駅前まで行かないと」
財前「こっからどんくらいなん?」
めいこ「歩きで15分か20分くらい...」
財前「かー、面倒くさっ」
めいこ「あははは、まぁ、この辺東京のわりに長閑かだから」
財前「せやけど、地元のチェーン喫茶が近くにあったんは嬉しいわ。安心安定の味」
めいこ「ハハハ、確かに。私もココができて嬉しいんだー、モーニングが好き過ぎて」
財前「俺は、白玉ぜんざいやな」
めいこ「....財前だから?」
財前「何でやねん。よう言われますわ」
めいこ「あはは、ごめん」
財前はじっとめいこの手元を見る。
財前「宿題?」
めいこ「うん、そう、職業体験したレポート」
財前「フーン」
聞いてきたわりには、興味無さそうに相槌した。
財前「ほな、それ早よ終わらせてここら辺案内してや」
めいこ「ええっ?!今?!」
財前「今。あとどんくらいかかる?」
めいこ「う、うーん、30分くらいかかるような...」
だって完璧なレポートってぶちょーに言われてんだもん!
財前「ほんなら、その間にデザート食べて待っとるわ」
めいこ「ええっ」
財前は店員さんを呼ぶと、追加の飲み物と白玉ぜんざいを注文していた。
めいこ「あの...駅前っていっても、期待するようなすごいもんは無いよ?」
財前「ええよ、散歩できれば」
めいこ「例えば、江戸時代に作られた生活水用に引かれた小川、とか」
財前「へぇ」
めいこ「横が歩道になっててね、ちょっとした林になってるっていうか...でもそれ東京観光っぽくないよ?」
財前「ええよ、そういう緩いんで」
めいこ「駅前まで歩くの面倒くさいなら、ちょっと時間かかるけどバスで行く?」
財前「いや、歩くわ。金勿体ないやろ」