第25章 【過去】ミケニャンニャンの日にて(千石)
めいこ「もし猫の城カフェにも無かったら、そうした方がいいかもしれませんね」
千石「だねぇ〜」
見つからないまま、猫の城まで戻ってきた。
千石は自信無さそうに、受付の女性スタッフに「あのぉ〜」と話しかけた。
二言三言のやり取りのあと、スタッフはハッとした顔をして、慌てて裏の部屋へ入っていく。
しばらくして戻ってきた彼女の手には、たわわにキーホルダーの実るスマホがあった。
めいこ「あっ」
千石「あぁ、それですそれです、いやぁーよかったー」
「こちらこそ、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
千石「いえいえ、こんなにつけてた僕が悪いんですし」
なにやらしきりにスタッフさんが誤っている。
会話の内容が気になり、近づいてみた。
めいこ「あの、どうしたんですか?」
千石「ん?あぁ、さっき中庭でじゃれてた猫ちゃんいるでしょ?あの子が俺のポケットから引っ張り出して遊んでたんだって」
めいこ「えええええ!」
そういえばあの時、お互いテンパってたから気づかなかったのかもしれない。
「よく言い聞かせておきます。もうほんとに申し訳ないです、うちのめいこが」
「「え」」
2人は思わず顔を見合わせた。
無事スマホも見つかり、先程の道をまた歩いていく。
千石「いやー、まさかニャンコに持ってかれてたとはなー、しかもめいこチャンて名前だし」
めいこ「あはははは!でも見つかって良かったですね」
千石「うん、今日はほんとにありがとう」
少し糸が飛び出たり、穴が空いていたりするスマホのキーホルダー達に視線を落とす。
めいこ「お気に入りのキーホルダー、ちょっとボロボロになっちゃいましたね」
千石「うん、でもいいんだ。この機会に全部取っちゃおっかなー」
めいこ「え?全部?」
千石「うん」
めいこ「あの、ずっと聞こうと思ってたんですけど、そのキャラ好きなんですか?」
ぶら下がっているのは全て、キーホルダーの種類が違う、全身タイツで顔の赤い、アメコミのヒーロー。
千石「うーん、特別好きって訳じゃなくてね、後輩に修学旅行のお土産何がいい?って聞かれて、パっと思いついたこのキャラを冗談まじりに言ったら、ホントに皆買ってきてくれてさ。付けないと申し訳ないじゃない」