第24章 【番外】蝉パニック!(滝)
めいこ「2人羽織作戦」
滝「僕も行くの?!」
めいこ「だって怖いんだもん」
滝「はぁ、もう、しょうがないねー」
諦めた滝は自分のユニフォームを頭まで引っ張って被せると、口元辺りまでチャックを締めた。
滝「ジャミラ作戦」
めいこ「えっ先輩ジャミラ分かんの?!てか今ジャミラなの?!」
何歩か慎重に歩き始めた時、近くの木からカラスが羽ばたいた。
それに驚いた1羽の蝉が羽ばたくと、それに驚いた蝉も羽ばたき、あっという間にパニックになった蝉がいっせいに飛び交い始めた。
「「うわぁあああああー!」」
顔面蒼白で2人羽織のまま、器用に走って目の前の倉庫に駆け込むと、滝は慌ててドアを締めた。
滝「っふぅ...」
めいこは安堵して、滝の上着から出た。
と安心したのもつかの間で、間違えて入ってきてしまった蝉が1匹、ビビビビ!と音を立てながらそこら中を飛び回り始めた。
めいこ「ワギャーー!」
滝「ちょっ、引張らないでっ」
後ろによろめいた滝は、バリッ!っと何かを踏んだ。
滝「蝉踏んだーー!」
めいこ「ウワーーッ!」
電気もつけていないので足元もよく分からないが、蝉の死骸が下にあったらしい。
めいこが勢いよく飛びついて、とうとうバランスを崩した2人は、後ろの跳び箱に倒れ込んだ。
滝「いった...」
気が付くとめいこは滝の上に覆いかぶさるような形になっていた。
めいこ「ごごごごめん」
滝「....」
慌てて退こうと体を起こすと、両手で腰を抑えられた。
めいこ「何、何?!」
滝「...いや、何だか、離すのが惜しいと思って」
めいこ「は?!」
滝「何だか...すごくドキドキするんだけど」
めいこ「えっ..いや、それは蝉でじゃなくて?!」
滝「...フッ、そうかもね」
めいこの背後では、外の光が唯一差し込む左の窓に、間違えて入った蝉が何度もぶち当たっていた。
滝「窓、開けてあげよう」
めいこ「そそそうですね!」
滝は少し名残惜しそうに手を離すと、めいこは窓を開けて蝉を開放した。
めいこ「ふぅーっ...」
次に、入口横のスイッチまで慎重に歩く。
滝「待って!つけないで」