第24章 【番外】蝉パニック!(滝)
めいこ「えっ、何で?」
スイッチを押そうとした指を止め、滝を見た。
滝「ホラ、また蝉がいて暴れだしても厄介だし」
めいこ「た、確かにそうか...」
滝「それで何を取ればいいの?」
めいこ「ボール...ですけど...」
滝「うん、分かった、持ってくから先に戻ってて」
めいこ「え??いや、でも...」
跳び箱の上に腰掛けた滝の表情は、薄暗くてよく見えない。
突然そんな事を言われ、戸惑って近づこうとすると、滝は少し焦ったような声を上げる。
滝「あー!ちょっと!今近づくの禁止!」
制御するように顔の前に手が伸びてきた。
めいこ「何で?!だってさっきは放してくれなかったのに!」
滝「あーーっ!だからその反動だよもう察してよこの無知おバカさん!」
めいこ「おバカさん?!」
めいこは軽くショックを受けて立ち尽くした。
めいこ「とうとう滝先輩まであたしのことバカって言った...」
滝「う...」
めいこ「バカって言ったぁあ!うわーん!」
泣き真似をしながら、めいこは勢いよくドアを開けて出ていってしまった。
滝「ふー、ごめんねめいさん」
滝は転んだどさくさ紛れにめいこを抱きしめた直後、なんと自分でも驚くことにズボンがテント状態になってしまっていたのだ。
電気をつけてこんな状態を見られたら、恥ずかしいことこの上ない。
まさか彼女のことを自分がここまで意識していたとは、思ってもみなかった。
少しからかうだけのハズだった。
滝「はー、静まんなよー」
自分のものに意味も無く言い聞かせて、気持ちを落ち着けようとする。
バカって言っちゃったこと、後で彼女に何と侘びよう。
すると、遠くからバタバタと走り戻ってくる音がドア越しに聞こえてきた。
めいこ「今のぶちょーに色々言いつけてやりますからねー!いーだ!」
滝「はぁ?!」
謎の捨て台詞をはいて、めいこはまた走り去ってしまった。
滝の息子は、一瞬で落ち着きを取り戻す。
滝「ちょっ!景吾くんに言われるのは色々とマズいよ!」
慌てて電気をつけて予備のボール籠を引っ掴むと、跡部に報告される前にめいこに追いつこうと走り出した。
ー【【番外】蝉パニック!】ENDー