第22章 夏の職業体験!(跡部)
「さて、ここがシャワールームよ」
そこには小さな脱衣所と、ガラス張りのシャワールームがあるだけだった。
「ここは主に、景吾様がトレーニング後に使われるシャワールームの1つなの」
めいこ「の、1つ?!」
一体どんだけシャワールームがあるというのか。
「先程使われたばかりだから、ゆっくり掃除していただいてかまいませんよ」
めいこ「はい」
「小さいから1人でも大丈夫かしら?」
めいこ「た、多分...」
「心配しないで、景吾様はお優しいから失敗しても咎めたりしないわ」
はたしてそうであるかな?!と心で叫んだめいこであった。
「これが終わったら、一度お昼休憩にしましょうね」
めいこ「はい」
「花嫁修行だと思って、がんばってね」
めいこ「花嫁修行?!」
メイド長さんは笑顔で、ズイっと掃除用具一式をめいこに渡した。
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めいこ「フンフーフフーン♪」
めいこは鼻歌を口ずさみながら、ガラス張りの壁をしゃがんで磨いている。
薬品を使うため一応窓は開けて、渡されたゴム手袋とマスクをつけている。
するとドアの開く音がして、メイド長さんがお昼休憩に呼びにきたのかなと振り返った。
のであるが、そのまま固まってしまった。
跡部「失礼」
また跡部景吾が来たからである。
何でだよ!コッチ来んなよ?!
と、失礼なことを心の中で叫びながら、先程よりも身を小さくさせた。
彼の背中しか見えないが、何やら脱衣所の籠に忘れ物をしたらしい。
目当てのものを見つけると、左腕にパチンとつけた。
あ、腕時計か。
跡部「ご苦労」
そう背を向けたまま言うと、ドアを閉めて行ってしまった。
めいこ「ふぃーっ、セ〜フ...」
何だこれ、めっちゃ心臓に悪いぞ。
あんなそっけないぶちょーも、久しぶりで逆に新鮮だし。
いやしかし、ぶちょーでも忘れ物することあるんだな、なんかかわいい。
っていやいやいや、忘れ物届けるのもメイドの務めだったのでは?!
「和栗さーん」
めいこ「うわぁ!びっくりした!」
色々考えてて、メイド長さんが入ってきたことに全く気づかなかった!
「あら、驚かせてごめんなさいね。もう直ぐお昼休憩よ。お仕事はどんな感じかしら」