第22章 夏の職業体験!(跡部)
「景吾様からお聞きしました。サンドイッチ、気に入っていただけたみたいで何よりです」
眼鏡をかけて上品に微笑むその人は、よく見るとハンサムなお父様だ。
いや、お兄様とお父様の狭間だ。
ぶちょーはほんとに、ちゃんと伝えてくれてたんだなぁ。
自然と顔が綻ぶままに、頭を下げてお礼を言った。
めいこ「はい、美味しかったです!ごちそうさまでした」
「今度はぜひ、遊びにいらして下さい。その時はまた、何か作りましょう」
めいこ「はいっ!ありがとうございます!」
めいこは上機嫌で食洗機の作業に取り掛かった。
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「次は玄関の掃除よ。勿論跡部様がいらっしゃったら掃除を止めて、邪魔にならないよう横によけたら、お帰りなさいませご主人様、と言ってください。それからゆっくり頭を下げること」
メイドさんって、そのセリフ本当に言うんだぁ。
変なところに関心しながら、めいこは玄関掃除のレクチャーを受けた。
しばらく何人かで玄関の掃き掃除をしていると、他のメイドがサッと一列に並んだ。
めいこ「ん?」
庭の方から来るのは、汗だくの跡部。
めいこは憧れのセリフで出迎えるどころか、慌てて柱の影に隠れた。
「「お帰りなさいませ、景吾様」」
跡部に1人のメイドはフェイスタオル、もう1人はペットボトルを差し出していた。
めいこ「一体どこから」
あまりの早技に、動揺を隠しきれないめいこであった。
跡部が立ち去ったのを見計らい、めいこは何事も無かったかのようにまた掃除を始めた。
「どうしたの?さっき走っていったけど、お腹の調子でも悪かった?」
可愛らしいメイドさんは、心配そうに聞いてくる。
めいこ「あ、いえ、ちょっと!ははは」
「大丈夫?無理しないでね」
めいこ「はい、はははは」
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「めいこさん、次はシャワールームのお掃除をお願いしてもいいかしら」
長い廊下を歩きながら、メイド長さんに案内される。
めいこ「はいっ!よろしくお願いします」
「ふふ、本当に真面目で素直なのね」
めいこ「そうですか?」
「えぇ、これならどのお仕事をしても、きっと人から好かれるわ。景吾様に好かれているのも頷けるわね」
めいこ「へっ?」